ホームページがない会社は、珍しくない

ホームページを持っていない会社は、珍しくありません。持たない理由としてよく挙がるのは、次のようなものです。

  • 紹介や付き合いの長いお客さんで仕事が回っていて、新しいお客さんを探す必要を感じていない
  • 日々の仕事で手いっぱいで、作る時間も、何を載せるかを考える時間もない
  • 作る費用や、サーバー(ホームページのデータを置く場所)とドメイン(ホームページのアドレス)の維持費をかけたくない
  • SNSや求人サイト、業界団体などの企業一覧ページで足りている

どれも、その会社にとっては筋の通った理由です。ホームページがないことだけで、怪しい会社だと決まるわけではありません。

それでも気になるのは、「ほとんどの会社はホームページを持っている」と聞くからではないでしょうか。総務省の「令和6年 通信利用動向調査」では、ホームページを開設している企業の割合は93.2%でした。ただし、この調査の対象は、常用雇用者が100人以上の企業です。従業員が数人から数十人の会社は、この数字に入っていません。

国の調査の93.2%は、常用雇用者100人以上の企業の数字 常用雇用者100人以上の企業 ホームページを開設している割合 93.2% 令和6年・総務省「通信利用動向調査」 常用雇用者100人未満の会社 この調査の対象に入っていない 従業員が数人から数十人の会社が どれくらい持っているかは この数字からは分からない
図1:総務省「令和6年 通信利用動向調査報告書(企業編)」が測っている範囲。93.2%は常用雇用者100人以上の企業の割合。

小さい会社については、中小企業庁の「2018年版 小規模企業白書」に、商工会・商工会議所の会員の小規模事業者に2017年12月にWebアンケートで聞いた結果が載っています。自社ホームページを開設していると答えたのは43.8%でした。ただし、会員に限り、Webで答えてもらった調査なので、小さい会社全体の数字とは言えません。調べた相手も方法も違うため、93.2%と並べて比べることもできません。

つまり、周りの会社がみんな持っているように見えても、自社と同じくらいの規模の会社が、どれくらいホームページを持っているかは、はっきりとは分かりません。作るかどうかを判断するうえで重要なのは、他社の保有率ではなく、自社名を検索した人にどのような情報が見えているかです。

ホームページがないと、何が起きるか

会社のことを初めて知った人は、担当者に会ったり問い合わせたりする前に、社名を検索することがあります。紹介、名刺、求人票、チラシなど、会社を知るきっかけは違っても、詳しい情報を確かめるために検索する人は少なくありません。名刺やチラシ、求人票に社名を載せた時点で、会社は社名で調べてもらう入口を配っていることになります。

会社を知ったきっかけは違っても、次に社名を検索することが多い 紹介された人 名刺を受け取った人 求人票を見た人 チラシや看板で見かけた人 社名を検索する ホームページがある 会社が自ら発信した情報で 確かめられる ホームページがない 見えるのは、地図・求人サイト・ 口コミなど、第三者や外部サービス が掲載した情報だけ
図2:会社を知ってから社名を検索するまでの流れ。

ホームページがない会社では、このとき次のことが起きます。

  • 何をしている会社かを、会社が自ら発信した情報で確かめてもらえない。 掲載できる内容や形式は、それぞれのサービスによって決められています
  • 求職者が、仕事の中身や働く環境を確かめられない。 求人票に書ける情報は限られるので、応募する前に社名で調べ、分からなければ応募を見送ることがあります
  • 古い情報や別会社の情報が表示されていても、自社から正しい情報を示しにくい。 移転前の住所や変わる前の電話番号がほかのサイトに残っていたり、同じ名前の別の会社が先に出たりしても、正しい情報を置いておく場所がありません
  • 新しいお客さんが、困りごとや業種の名前で検索したときに、自社が候補に入りにくい
  • 同じ質問に、電話で毎回答えることになる。 どんな仕事を頼めるか、どの地域まで来てもらえるか、といった質問です

最初の3つは、社名を検索した人の側で起きていて、会社からは見えません。必要な情報を確かめられない場合、見た人は電話で問い合わせるか、比較する材料が少ないまま、依頼や応募をするかどうかを決めることになります。

4つ目は、ホームページを作ればすぐに解決する、というものではありません。作ったページが検索結果の上のほうに出るまでには時間がかかります。このサイトでも、記事の公開を始めて最初の2週間、検索から来たクリックはトップページへの1回だけで、記事へのクリックはありませんでした。作ったあと、検索から人が来るようになるまでに何が起きるかは、次の記事で解説しています。

関連記事SEO集客とは?広告との違いとメリット・デメリット、始めてから最初に起きること

そこで、次の章では、すでに会社を知って社名を検索した人に、いま何が見えているかを確かめます。

自社の名前で検索して、いま何が出るかを見る

社名を検索した人に何が見えているかは、普段の業務だけでは気づきにくいものです。そこで、相手と同じように自社名を検索してみます。経営者でも社員でも、社名を知っている人なら誰でもできる作業です。手順は次の3つです。

  1. 検索に使うキーワードを3つ書き出す。 登記上の正式な社名、「株式会社」を省いた名称や略称など普段使われている呼び名、社名に地域名を加えたものを用意します。紹介された人は正式な社名を知らないことがあり、同じ名前の別の会社があれば、地域名を加えないと見分けにくいためです
  2. スマートフォンで、1つずつ検索する。 取引先や求職者が手元で調べる場面に近づけるためです。ふだんの検索の履歴が混ざらないよう、閲覧の履歴を残さない画面(ブラウザのシークレットモード。ブラウザのメニューから開けます)を使います
  3. 検索結果を上から順に確認し、何が表示されたかを書き留める。 上から10件ほどを確認すれば十分です。書き留めておくと、キーワードによる結果の違いや、ホームページを公開したあとの変化を見比べられます

書き留めたら、それぞれについて「見た人に何が伝わるか」「何が伝わりにくいか」を書きます。社名を検索したときに出やすいものと、見た人に伝わることは、おおよそ次のとおりです。1行目にある、地図と一緒に表示される会社の情報は、Googleビジネスプロフィール(Googleの検索結果や地図に、会社や店の情報を載せる無料の仕組み)と呼ばれるものです。

社名を検索したときに出やすいものと、見た人に伝わること 出たもの 伝わること 伝わりにくいこと 地図とGoogleビジネスプロフィール 場所・電話番号・営業時間 依頼できる仕事・実績 求人サイトの募集 募集していることと、その条件 会社が何をしているかの全体 業界団体などの企業一覧ページ 住所と電話番号 その情報が今も正しいか 口コミやまとめのサイト ほかの人の評価 会社の側の説明 同じ名前の別の会社 (別の会社の情報) 自社と見分けがつくか 何も出ない 特になし 今も営業しているか
図3:社名を検索したときに出やすいものと、それを見た人に伝わること。自社の検索結果で、上から順に当てはめて書き留める。

書き留めると、たとえば「正式な社名では地図と会社の情報が出たが、略した名前では同じ名前の別の会社が先に出た」「地域名を加えると、移転前の住所が載った企業一覧ページが出た」のように、名前によって見え方が違うことに気づけます。普段は気づきにくかったものが、この一覧で見えるようになります。

作るかどうかは、誰が社名で調べに来るかで決める

第3章で確認した検索結果と、「誰が自社名を検索するのか」を照らし合わせると、ホームページの必要性を判断しやすくなります。見るのは次の2つです。

1つ目は、第3章の一覧で、何をしている会社か、どこにあってどう連絡すればよいかが、正しく伝わっているかです。古い情報が出ているだけなら、まずGoogleビジネスプロフィールなど、自社で直せるところから直します。それでも事業の内容が伝わらない場合や、同じ名前の別の会社と見分けにくい場合、何も出てこなかった場合は、作ることを検討します。

2つ目は、これから社名を検索して調べに来る人がいるかです。

制作の仕事で見てきた範囲では、ホームページを作ると決めたきっかけは、会社の状況によって分かれます。創業して間もない会社は、名刺代わりに作ることが多く、老舗で受注に困っていない会社や、仕事のほとんどが親会社から来る会社では、採用のために作ることが多いです。一方で、新しいお客さんを開拓する必要がある会社は、たいてい、すでに持っています。いまホームページがなく、仕事にも困っていない会社にとって、作るきっかけになりやすいのは採用です。

社名を検索して調べに来る人がいるのは、次のような会社です。

  • これから採用を始める会社。求職者が、応募する前に仕事の内容や働く環境を確かめられる場所が要ります
  • 創業して間もなく、取引先が会社のことを確かめられる場所がない会社。名刺に書ききれない事業の内容や連絡先を、社名を検索した人に見せられます
  • 紹介を通じて仕事を受けることが多い会社
  • 新しい取引先を増やしたい会社。営業や展示会で会った相手は、次に会う前に社名で調べることがあります
  • 融資や法人口座の開設を相談する予定がある会社。金融機関の担当者が、会社のことを確かめることがあります

紹介と、付き合いの長いお客さんは、同じように見えて違います。紹介された人はまだ会社のことを知らないので、会う前に社名で調べることがあります。付き合いの長いお客さんは、会社のことをすでに知っているので、あらためて調べることはあまりありません。

反対に、次の3つがすべて当てはまる会社は、作るのを急がなくてよいでしょう。

  • 付き合いの長いお客さんだけで仕事が回っていて、新しい取引先を探していない
  • 当面、採用の予定がない
  • 社名を検索したときに、場所と連絡先がGoogleビジネスプロフィールなどで正しく表示されている
作るかどうかは、何が見えていて、誰が調べに来るかで決める 自社名を検索して、上から書き留める 何をしている会社か、どこにあって、どう連絡 すればよいかが、正しく伝わっているか いいえ はい 紹介・採用・新しい取引先・金融機関など、これから 社名を検索して調べに来る人がいるか いる いない 急がなくてよい 状況が変わったら、もう一度検索して確かめる 作ることを 検討する
図4:作るかどうかの判断の流れ。1つ目の問いは、第3章で書き留めた検索結果から答える。

「紹介で仕事が回っているから必要ない」という考え方もあれば、「紹介で回っているからこそ必要だ」という考え方もあります。どちらが当てはまるかは、図4の2つの問いで決まります。検索結果で会社のことが正しく伝わっていて、紹介を受けた人や求職者など、社名を検索して調べる人もいないなら、急ぐ必要はありません。伝わっていないか、調べに来る人がいるなら、作ることを検討します。

作らないと決めることも、判断の1つです。その場合も、紹介が増えた、採用を始めることにした、など状況が変わったときに、もう一度自社名を検索して、同じように確かめます。

SNSやGoogleビジネスプロフィールで代わりになるか

ホームページを作らず、SNSやGoogleビジネスプロフィールだけで済ませられないか、と考える方もいるでしょう。それぞれ、できることが違います。

Googleビジネスプロフィールは、社名を検索したときに、検索結果やGoogleマップに表示されやすく、住所や電話番号、営業時間、写真、口コミを載せられます。社名を検索した人がまず確かめたい、場所と連絡先を伝えるには向いています。お客さんのところへ出向いて仕事をする会社など、店を構えていない会社でも、拠点の住所とサービスを提供する地域を登録できます(Googleのガイドライン)。無料で使えるので、ホームページがあってもなくても、登録内容を正確かつ最新の状態に保つ価値があります。すでに登録されているなら、第3章で確認した検索結果に、古い住所や電話番号が表示されていないかを確かめます。

一方で、仕事の内容や働く環境をまとめて載せる場所にはなりません。第4章で挙げたように、採用をきっかけにホームページを作る会社にとっては、この点で代わりになりません。また、以前はGoogleビジネスプロフィールで簡単なウェブサイトを作る機能もありましたが、2024年3月に利用できなくなりました。載せられるものや使える機能は、サービスの都合で変わります。

SNSは、日々の仕事の様子や新しいお知らせを伝えるのに向いています。ただし、投稿は時間とともに流れていくので、会社の基本情報や実績を1か所にまとめて置くには向きません。また、アカウントはそのサービスの規約や仕様の変更の影響を受けます。掲載方法や表示の仕組みを、自社だけで自由に決められる場所ではありません。

求人サイトや業界団体などの企業一覧ページも同様です。掲載できる項目はサービス側が決めており、掲載契約の終了やサービスの閉鎖によって、情報が見られなくなることもあります。

ホームページ・Googleビジネスプロフィール・SNSに向いているもの ホームページ Googleビジネス プロフィール SNS 住所・電話番号・営業時間 ○ ○ △ 何をしている会社かをまとめて伝える ○ △ △ これまでの実績 ○ △ △ 仕事の内容や働く環境(採用) ○ × △ 日々の様子・お知らせ ○ △ ○ 載せ方を決めるのは 自社 Google そのサービス
図5:ホームページ・Googleビジネスプロフィール・SNSに向いているもの(○=向いている/△=載せられるが向いていない/×=載せる場所がない)。代わりにするより、役目を分ける。

つまり、代わりにするというより、役目を分けることになります。場所と連絡先はGoogleビジネスプロフィール、日々の様子はSNS、どのような会社で、どんな仕事をしてきたのかをまとめて伝えるのが、ホームページの役目です。SNSにどんな役目を任せ、ホームページとどうつなぐかは、次の記事で解説しています。

関連記事SNS集客はもう古い?古いと言われる理由と、やめるか続けるかの決め方

作るなら、まずどこまで作るか

作ると決めたら、最初から大きなサイトを作る必要はありません。最初に用意するページは、会社概要、事業紹介、実績、問い合わせ、プライバシーポリシーの5つが目安です。ただし、最初からすべてのページの内容を充実させる必要はありません。まずは、社名を検索した人が、何をしている会社で、どこにあって、どう連絡すればよいかを確かめられることを目指し、第3章の一覧で「伝わりにくいこと」に挙がったものから埋めていきます。伝わりにくかった情報には、それぞれ補うためのページがあります。

第3章で伝わりにくかったことを、どのページで埋めるか 第3章で伝わりにくかったこと 埋めるページ 何をしている会社か・依頼できる仕事 事業紹介 これまでの実績 実績 今の住所・電話番号・代表者 会社概要 自社と、同じ名前の別の会社の見分け 会社概要(正式な社名と所在地) どう連絡すればよいか 問い合わせ 仕事の内容や働く環境 採用情報(採用をきっかけに作るなら)
図6:第3章の「伝わりにくいこと」と、それを埋めるページ。最初に作る範囲は、この列から決める。

実績を公開できない会社は、社名や製品名を出さずに書ける範囲で、扱っている仕事の種類や対応できる業種を書きます。採用をきっかけに作るなら、採用情報のページを足します。作成サービス・CMS・制作会社のどれで作るか、選ぶ前に何を確かめておくかは、次の記事で解説しています。

関連記事会社のホームページの作り方は?3つの方法と、選ぶ前に確かめること

公開後、しばらくたってから、第3章と同じ3つのキーワードでもう一度検索します。公開直後は、社名で検索しても自社のページが表示されないことがあるからです。自社のページが表示されているか、住所や電話番号がほかのサイトと食い違っていないかを確かめます。

なお、ホームページを作っても、社名で検索される回数そのものが増えるわけではありません。社名の検索回数は、会社の認知度が高まるにつれて増えていくものです。ホームページによって変えられるのは、検索回数そのものではなく、自社名を検索した人に見せる情報です。

ARROWSのホームページ制作

作ると決めたら、次は何のために作るかで、載せるものが変わります。ARROWSのホームページ制作では、最初のご相談で、ホームページで何をしたいかを伺います。会社のことを伝えたい、採用につなげたいなど、目的によって載せるものも、作り方も変わるからです。そのうえで、目的に合ったサイトの種類をご提案します。

社名を検索した人が見るのは、ホームページだけではありません。第3章で見た検索結果には、地図の情報なども並びます。ARROWSでは、社名・所在地・サービス名の書き方をサイトの中でそろえ、サイトの外で直すところは一覧にしてお渡しします。第5章の、Googleビジネスプロフィールの登録内容を正確に保つ、という話と同じ考え方です。

創業して間もない会社には、作るページを創業期に要るものに絞って構成を決めておき、費用を抑えたスタートアップ向けWebサイト制作もあります。

まとめ

ホームページを作るかどうかは、検索結果から会社の基本情報が正しく伝わっているか、これから社名を検索して調べに来る人がいるか、という2点をもとに判断します。ほかの会社が持っているかどうかではありません。

まずは今日、正式な社名、ふだん呼ばれている名前、社名に地域名を加えたものの3つで検索して、表示されたものを書き留めてみてください。紹介された人や求職者がその検索結果を見て、会社について必要な情報を確認できるかを考えると、ホームページを作るべきか判断しやすくなります。