アンゾフの成長マトリクスとは

アンゾフの成長マトリクスは、経営学者のイゴール・アンゾフが示したフレームワークです。縦に市場(誰に売るか)、横に商品(何を売るか)を置き、それぞれを「既存」と「新規」に分けると、4つのマスができます。事業を広げる方向は、この4つのどれかに入ります。「アンゾフのマトリクス」と呼ばれることもあります。

市場と商品を、既存と新規に分けると4つのマスになる 商品(何を売るか) 既存 新規 市場 (誰に売るか) 既存 新規 市場浸透 いまのお客さんに いまの商品をもっと売る 製品開発 いまのお客さんに 新しい商品を売る 市場開拓 新しいお客さんに いまの商品を売る 多角化 新しいお客さんに 新しい商品を売る マトリクスで出すのは方向の候補。どれを選ぶかは別の物差しで決める
図1:アンゾフの成長マトリクスの4つのマス。

使う前に押さえておきたいのは、このマトリクスで出せるのは方向の候補だということです。中小企業向けの経営情報サイトのJ-Net21も、マトリクスで確認できるのは方向性であって戦略ではないと説明しています。参入する分野は、市場の魅力と、自社が優位に立てるかどうかを評価したうえで決めるのが定番だとしています。

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構『J-Net21 アンゾフの成長マトリックス』

つまり、4つのマスを埋めて終わりではありません。マスに候補を書き出したら、どれを選ぶかを別の物差しで決める必要があります。この記事では、そのうち自社が選ばれるかどうかを、手元の記録で見る方法を第5章と第6章で説明します。

使う順番でいうと、アンゾフの成長マトリクスは、SWOT分析で自社の強みと機会を整理したあとに来ます。SWOT分析で「どの強みを、どの機会に生かすか」を一文に絞ったら、その強みをどの市場・どの商品へ広げるかを、このマトリクスで考えます。誰に、何を、どう届けるかを決める工程(STP・4Pと呼ばれます)は、その次です。SWOT分析をまだしていなくても、この記事の手順は受注の記録から始められます。

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アンゾフの成長マトリクスは、市場と商品を既存・新規で分けた4つのマスで、事業を広げる方向の候補を出す道具です。

4つの戦略:市場浸透・市場開拓・製品開発・多角化

4つのマスには、それぞれ名前があります。ここでは、地域の飲食店や医院からチラシや名刺の印刷を請けている、架空の小さな印刷会社を例にします。

  • 市場浸透(既存の市場×既存の商品):いまのお客さんに、いまの商品をもっと買ってもらう。たとえば、チラシを年に2回頼んでいる店に、季節ごとのチラシも頼んでもらう。取引先の別の店舗や別の部署からも頼まれるようにする。同じ地域・同じ業種で、まだ取引のない会社に売ることも、市場は変わらないのでここに入る
  • 市場開拓(新規の市場×既存の商品):いまの商品を、新しいお客さんに売る。新しい市場への広げ方には、隣の市の店に売るなど地域を広げる方法と、市内の工務店に売るなど同じ地域で別の業種・層のお客さんに広げる方法がある
  • 製品開発(既存の市場×新規の商品):いまのお客さんに、新しい商品を売る。たとえば、チラシを頼んでいる店から、ホームページの制作も請ける
  • 多角化(新規の市場×新規の商品):お客さんも商品も新しくなる。たとえば、印刷会社が自社で雑貨のネット販売を始める

ここでいう「いまのお客さん」は、いま取引のあるお客さんと同じ層(同じ地域・同じ業種)のお客さんも含みます。

戦略残すもの新しくなるもの主に必要になるもの
市場浸透お客さん・商品なし買う回数・量を増やす工夫、取引先の中での紹介
市場開拓商品お客さん新しいお客さんに知ってもらう手段・売る力
製品開発お客さん商品新しい商品を作る知識・設備・人
多角化なしお客さん・商品売る力と作る力の両方

多角化は、さらに4つに分けて説明されることもあります。いまの事業に近い商品を同じような層に広げる水平型、仕入れ先や販売先の仕事を自社で持つ垂直型、いまの技術を生かして新しい市場に出る集中型、いまの事業とは関係の薄い分野に出る集成型です。小さい会社が最初の1歩で多角化を選ぶことは少ないので、名前だけ知っておけば足ります。

4つの戦略の違いは、いまのお客さんといまの商品のうち、何を残して何を新しくするかです。

リスクの順と、使う場面

4つの戦略は、リスクの大きさが違います。市場浸透がいちばん低く、市場開拓と製品開発がその次で、多角化がいちばん高くなります。残せるものが減るほど、自社がまだ知らないことが増えるからです。いまのお客さんを残せば、そのお客さんが何に困っているかを知っています。いまの商品を残せば、作り方と品質は分かっています。多角化では、その両方が無い状態から始めることになります。市場浸透の隣にある市場開拓と製品開発を、この記事では「隣のマス」と呼びます。

残せるものが減るほど、リスクは高くなる 市場浸透 お客さん:残る 商品:残る 市場開拓・製品開発 お客さんか商品の どちらかが残る 多角化 お客さん:新しい 商品:新しい リスク 低い 高い 市場開拓は売る力があれば入れるが、商品では違いを出しにくい 製品開発は作るまでに手間がかかるが、違いになりやすい
図2:4つの戦略のリスクの順。市場開拓と製品開発の違いは、J-Net21の説明をもとにした筆者の整理。

同じ「隣のマス」でも、市場開拓と製品開発では、難しいところが違います。J-Net21は、市場に関する強み(売る力や販売の経路)は新しい分野に入るときに役立ち、技術に関する強みは他社との差をつけるときに役立つと説明しています。市場開拓は、いまの商品を新しいお客さんに売るので、売る力や販売の経路があれば、新しい市場に入りやすくなります。ただ、同じような商品はその市場のほかの会社も持っていることが多く、違いを出すのに苦労しやすくなります。製品開発は、新しい商品を作るまでに手間がかかる反面、いまのお客さんが求める商品を作れれば、それが他社との違いになりやすいということです。

アンゾフの成長マトリクスを使うのは、いまの事業のままでは伸びが見込めないときです。主力の商品が売れにくくなってきた、いまの地域ではお客さんが増えない、取引先が減ってきた、といった場面で、次にどこへ広げるかの候補を出すために使います。

リスクは市場浸透、市場開拓と製品開発、多角化の順に高くなり、同じ隣のマスでも、市場開拓と製品開発では、入りやすさと他社との違いの出しやすさが違います。

先に、受注の記録から自社の「既存の市場」「既存の商品」を書き出す

4つのマスを使う前に、「既存の市場」と「既存の商品」を決めます。ここがあいまいなままだと、どこからが「新しい市場」なのかも決まりません。

決めるときに見るのは、受注の記録です。会社案内に書いている事業の説明ではなく、実際に受注した仕事を並べます。請求書の控えや受注の台帳、顧客の一覧から、過去1年の受注を書き出します。

  1. どんなお客さんか:業種、地域、規模(従業員の数や店舗の数)を書く。これが「既存の市場」になる
  2. 何を売ったか:商品・サービスの名前だけでなく、実際に頼まれた作業まで書く。同じ技術でできそうな作業でも、受注していないものは入れない。これが「既存の商品」になる
受注先業種地域規模売ったもの
A店飲食店市内1店舗チラシ(年2回)・ショップカード
Bクリニック医院市内1院診察券・院内の案内の印刷(年4回)
C店小売店市内3店舗チラシ(季節ごと)・名刺
D社飲食店市内2店舗メニュー表の印刷・チラシのデザイン(年3回)

この例なら、既存の市場は「市内の、店舗を持つ小さな飲食店・小売店・医院」、既存の商品は「チラシ・カード類・メニュー表・院内の案内の印刷と、チラシのデザイン」と書けます。

受注の記録から、既存の市場と既存の商品を書き出す 過去1年の受注 A店:飲食店・チラシ Bクリニック:医院・診察券 C店:小売店・チラシ・名刺 D社:飲食店・メニュー表 既存の市場 市内の、店舗を持つ小さな 飲食店・小売店・医院 既存の商品 印刷:チラシ・カード類・メニュー表・院内の案内 デザイン:チラシ 業種・地域・規模 売ったもの 会社案内の説明ではなく、実際に売れた記録で書く
図3:受注の記録から「既存の市場」「既存の商品」を書き出す流れ。例は架空の印刷会社。

書き出してみると、自社が思っていた市場と、記録に出る市場がずれていることがあります。たとえば、地域のさまざまな会社から請けているつもりでも、記録を見ると、受注のほとんどが店舗を持つ業種に寄っていた、という場合です。ずれていたら、受注の記録に出ているほうを「既存の市場」にします。マトリクスで「新しい市場」を考えるときの基準は、実際に売れている市場だからです。1回きりの受注しかなかった業種や地域は、既存の市場の一文には入れず、表には残しておきます。第5章で、市場開拓の種として見ます。

この書き出しは、自社でやる作業です。受注の一覧があれば、1〜2時間ほどで書けます。毎年1回か、事業の計画を立てる前に書き直します。受注の記録から、お客さんが何を決め手に頼んだのかを読み、その市場で選ばれるためのカギ(KSF)を見つける方法は、KSFの記事で解説しています。

関連記事KSFとは?意味と、受注・失注の決め手から見つける方法【テンプレート付き】

「既存の市場」「既存の商品」は、会社案内の説明ではなく、受注の記録に出ているお客さんと売ったもので書きます。

次の1歩は隣のマスから、頼まれたこと・聞かれたことの記録で選ぶ

「既存」を書き出したら、次に広げる先を考えます。リスクがいちばん小さいのは市場浸透ですが、このマトリクスを開くのは、いまと同じ層のお客さんにいまの商品を売るだけでは伸びが見込めないときです。そこで小さい会社が最初に考えるのは、隣の2つのマス、市場開拓と製品開発です。どちらも、いまのお客さんかいまの商品のどちらかを残せるので、まったく知らないところから始めずに済みます。

隣のマスのどちらを選ぶかの手がかりは、すでに会社の中にあります。お客さんから頼まれたこと、聞かれたことの記録です。

  • 製品開発の種:いまのお客さんから「これもできる?」と頼まれた仕事。断った仕事、ほかの会社に回した仕事もここに入る
  • 市場開拓の種:いつもと違う地域や業種からの問い合わせ。紹介で来たお客さんが、いつもと違う業種だったときや、1回きりの受注だった業種・地域も入る
  • 市場浸透:種というより、確かめること。取引先のまだ頼まれていない店舗・部署や、同じ地域・同じ業種でまだ取引のない会社が残っていないか
種を拾う場所拾えるもの入るマス
見積もりの依頼・打ち合わせのメモ「これもできる?」と聞かれた仕事製品開発
断った仕事・ほかの会社に回した仕事の記録求められたのに出せなかったもの製品開発
問い合わせのメール・電話のメモいつもと違う地域・業種からの相談市場開拓
紹介の経路誰の紹介で、どんな業種のお客さんが来たか市場開拓
取引先の店舗ごとの注文の記録・顧客の一覧まだ頼まれていない店舗・部署、同じ層でまだ取引のない会社(種ではなく、確かめること)市場浸透

先ほどの印刷会社なら、たとえば次のような記録が見つかります。取引先の飲食店2店から、それぞれ「メニューを載せるホームページを作ってもらえないか」と聞かれ、どちらも断っていた。院内の案内の印刷を請けているBクリニックから、案内のデザインもできないかと2回聞かれ、印刷だけを請けていた。隣の市の歯科医院から、紹介で問い合わせが1回来た。市内の工務店から、見学会のチラシの相談が1回来た。

頼まれたこと・聞かれたことを、4つのマスの上に置く 商品(何を売るか) 既存 新規 市場 (誰に売るか) 既存 新規 市場浸透 取引先の別の店舗・同じ層の会社 (残っていないか確かめる) 製品開発 ホームページを作れるか(2回) 院内の案内のデザイン(2回) 市場開拓 隣の市の歯科医院(1回) 市内の工務店(1回) 多角化 種はたいてい無い 隣のマスで広げてから 同じ種が2回以上出てきた隣のマスから考える
図4:頼まれたこと・聞かれたことの記録を、4つのマスに置いた例。例は架空の印刷会社。

種を4つのマスの上に置いたら、同じ種が2回以上出てきたマスから考えます。同じ種とは、同じ商品や作業を頼まれたこと、同じような地域・業種から問い合わせが来たことです。別々のお客さんからの2回は、同じお客さんからの2回より強い手がかりになります。この例なら、製品開発のマスに2回出てきた種が2つあります。ホームページは別々のお客さんから、院内の案内のデザインはBクリニックから2回なので、まずホームページの制作を候補にし、院内の案内のデザインは次の候補として残します。

1回しか出てこなかった種も、消さずに残しておきます。記録が増えたときに数え直すと、同じ種がまた出てくることがあります。相談を記録に残していなかったときは、営業の担当や自分が覚えている分も書き足します。それでも同じ種が見つからなければ、1回の種のまま第6章の物差しで比べ、記録を書き足しながら見直します。

多角化のマスには、たいてい種がありません。お客さんも商品も新しいので、いまのお客さんから頼まれることも、いつもの問い合わせに出てくることもないからです。そのため、この記事では、多角化はすぐには選ばず、隣のマスで広げたあとに「既存」を書き直してから考える進め方をとります。書き直すと、いまは多角化に見える分野が、隣のマスに変わることがあります。

隣のマスを選ぶ前に、市場浸透の余地が本当に残っていないかも確かめておきます。取引先のまだ頼まれていない店舗や部署、同じ地域・同じ業種でまだ取引のない会社が残っていれば、そこへ広げるのがいちばんリスクの小さい1歩です。ただ、取引先が少なく、同じ層の会社も多くない地域では、市場浸透だけでは伸びる幅に限りがあります。

この作業も自社でやります。営業や問い合わせの記録を月に1回、30分〜1時間ほど見返し、種を書き足していきます。広げる先の市場がどれくらいの大きさか、競合がどれくらいいるかを調べる作業は、外に頼むこともできます。

次の1歩は、お客さんから頼まれたこと・聞かれたことの記録に、同じ種が2回以上出てきた隣のマスから選びます。

広げる前に、候補を4つの物差しで並べて比べる

候補が出そろったら、すぐに始める前に、並べて比べます。比べる相手として、この例では1回だけ出てきた市場開拓の種(隣の市の歯科医院)や、次の候補として残した院内の案内のデザインも並べておくと、選んだ候補のほうが有利かどうかが分かります。比べるのは次の4つです。

  1. 必要なもの:人、設備、知識、新しい取引先。いまの会社にあるものと、新しく用意するものを分けて書く
  2. 売れるまでの時間:準備を始めてから、最初の受注が入るまでにどれくらいかかりそうか
  3. 外れたときの痛さ:うまくいかなかったときに失うお金と時間。やめやすいかどうかも書く
  4. 届けるコストと選ばれる理由:市場開拓のときに特に見る。新しい市場のお客さんに商品を届けるのに、いまより手間やお金がかかりすぎないか。そこで、ほかの会社ではなく自社が選ばれる理由があるか

4つ目の物差しは、私が関わった仕事での経験から入れています。もともと商圏を近くの地域に絞って広告を出していた会社で、運用の途中で広告を出す地域を広げたことがあります。商圏を絞っていたのは、広い地域で勝負できる力がないと考えていたからでした。配信する地域を広げた結果、新しく加えた地域に広告費の多くが使われ、もとの地域で広告が表示される回数が減りました。広げた地域からは、検索広告を経由した問い合わせが1件も来ませんでした。

振り返ると、広げた地域では、仕事が取れたとしても、仕事のたびに現地へ行く手間とお金が、大きな負担になります。「すぐ来てもらえる」「地域のことを知っている」といった、近くの会社が選ばれる理由も、その地域ではありませんでした。広告では「地域密着」とうたっていたのに、広告から来た人が見るページには、地域を示す言葉がなくなっていたことも分かりました。

この経験から、市場開拓を考えるときは、入れそうかどうかより先に、その市場のお客さんに無理なく届けられるか、そこで自社が選ばれる理由があるかを見るようにしています。

広げる前に、4つの物差しで候補を並べる 物差し 製品開発 いまのお客さんに・ホームページの制作 市場開拓 隣の市の医院・歯科医院に・いまの印刷 必要なもの 作る知識・協力先 新しいお客さんに知ってもらう手段 売れるまでの時間 断った2件に声をかければ、すぐ試せる 知ってもらうところから始まる 外れたときの痛さ 2件分の手間で済む 広告費と、打ち合わせに通う時間 届けるコスト・選ばれる理由 いまのお客さんなので届けやすい 頼まれているので選ばれる理由がある 打ち合わせに通う手間がかかる 選ばれる理由はまだ無い 入れそうに見えるかではなく、届けられて選ばれるかで決める
図5:候補を4つの物差しで並べた例。例は架空の印刷会社。テンプレートの「3_候補を比べる」と同じ形。

比べて1つに決めたら、小さく試します。印刷会社の例なら、まずは断っていた飲食店2店に声をかけ、ホームページの制作を請けてみます。いきなり事業として打ち出す前に、どれくらい手間がかかり、続けて頼まれそうかを確かめます。社内に作れる人がいなければ、協力先と組み、2件に絞って請ける方法もあります。試す範囲を絞っておけば、うまくいかなかったときのお金と時間の負担を小さくできます。小さく試しているあいだに、うまくいっているかを途中で確かめる数字(KPI)をどう置くかは、KPIの記事で解説しています。

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この比較は自社で、1〜2時間ほどかけて行い、試す1つを決めます。

広げる前に、必要なもの・売れるまでの時間・外れたときの痛さ・届けるコストと選ばれる理由の4つで候補を比べ、入れそうに見えるかではなく、届けられて選ばれるかで決めます。

アンゾフの成長マトリクスのテンプレート

自社で広げる先を決めるときに使えるように、この記事の手順に沿ったテンプレート(Excel)を用意しました。ファイル1つに、次の5つのシートが入っています。

  • 使い方:書く順番と、それぞれのシートで何を書くか
  • 1_既存を書き出す:過去1年の受注を1件ずつ、業種・地域・規模・売ったものに分けて書き、既存の市場・既存の商品を一文にする
  • 2_4マスに種を置く:頼まれたこと・聞かれたことを1件ずつ、出どころと入るマスと一緒に書き、同じ種が何回出てきたかを数える
  • 3_候補を比べる:候補ごとに、必要なもの・売れるまでの時間・外れたときの痛さ・届けるコストと選ばれる理由を書き、試す1つを決める
  • 4_記入例:架空の印刷会社で、受注の記録から広げる先を決めた例
テンプレートは、書き出す・種を置く・比べるの3枚が中心 1_既存を書き出す 受注先・業種・地域・規模 売ったもの 既存の市場・商品を一文に 2_4マスに種を置く 頼まれた・聞かれたこと 出どころ・入るマス 種ごとの回数 3_候補を比べる 必要なもの・時間 外れたときの痛さ 届けるコスト・選ばれる理由 次に試す1つ ほかに「使い方」と、記入例のシート(架空の印刷会社)が入っている
図6:アンゾフの成長マトリクスのテンプレートのシート構成。

「既存を書き出す」「4マスに種を置く」「候補を比べる」の順にシートを埋めると、次に試す1つまで決められます。

アンゾフの成長マトリクスのテンプレート(Excel)をダウンロードする

※登録や個人情報の入力は要りません。クリックすると、Excelのファイル(アンゾフの成長マトリクステンプレート.xlsx)がダウンロードされます。

ARROWSのマーケティングコンサルティング

広げる先を決めたあとは、その市場で誰に、どう知ってもらい、どう選んでもらうかを決める段に進みます。ARROWSのマーケティングコンサルティングでは、施策を決める前に、強みの源泉、自社と市場の状況、狙うお客様と立ち位置を整理します。そのうえで、SEO・広告・SNS・メールのどれから始めるかを選びます。

ご契約後は、最初に半年間の集客の設計図をつくります。設計図には、お客様に選ばれる理由、どこで勝負してどこを避けるか、届ける相手と届く言い方、お客様が知ってから問い合わせるまでの各段階で行う施策、施策の優先順位と成果を確かめる指標を書きます。第6章で決めた広げる先を、この設計図の「どこで勝負するか」として持ち込めば、その市場で狙うお客様と集客の道筋を描くところから一緒に進められます。

まとめ

アンゾフの成長マトリクスで出せるのは、事業を広げる方向の候補です。どの方向を選ぶかの手がかりは、自社の受注の記録と、お客さんから頼まれたこと・聞かれたことの記録の中にあります。

まずは、過去1年の受注を並べ、「既存の市場」と「既存の商品」を一文ずつ書いてください。次に、「これもできる?」と頼まれた仕事と、いつもと違う地域・業種からの問い合わせを、4つのマスの上に置きます。同じ種が2回以上出てきた隣のマスを候補にし、必要なもの・売れるまでの時間・外れたときの痛さ・届けるコストと選ばれる理由の4つで比べてから、1つを小さく試します。