コンテンツマーケティングとは:役に立つ情報で、顧客との関係を作る活動の全体
コンテンツマーケティングは、見込み客や顧客にとって役に立つ情報を届けて、関係を作っていく活動です。ここでいうコンテンツは、相手の役に立つ情報を、読んだり見たりできる形にしたものです。たとえば、検索で読まれる記事、メールマガジン、営業で渡す資料、導入事例、SNSの投稿、動画、セミナーなどです。資料のうち、課題の整理や手順をまとめて配る読み物は、ホワイトペーパーとも呼ばれます。
広告との違いは、まず届ける情報の中身にあります。広告は、自社の商品やサービスを知ってもらい、買ってもらうための情報です。コンテンツマーケティングで届けるのは、相手が仕事で困っていることへの答えです。売り込まない情報なので、まだ発注を考えていない人にも読んでもらえます。読んだ人が、困ったときにその会社を思い出し、相談先に選ぶ。その流れを作るのが、コンテンツマーケティングです。
よく一緒に出てくる言葉に、コンテンツSEOとオウンドメディアがあります。コンテンツSEOは、検索で見つけてもらうための記事を作ることです。コンテンツマーケティングの中では、検索という入口に絞った部分にあたります。オウンドメディアは、自社が持ち、記事を積み上げていく場所のことです。
コンテンツマーケティングは記事だけを指す言葉ではなく、メール・資料・SNSまで含めて、役に立つ情報で関係を作る活動の全体です。 検索の入口に絞った記事の作り方は、コンテンツSEOの記事で解説しています。
コンテンツマーケティングのメリットとデメリット
コンテンツマーケティングに取り組むメリットは、3つあります。
1つ目は、広告以外の入口から接点が持てることです。困りごとを検索した人や、SNSで投稿を見た人が、記事を通して会社を知ります。2つ目は、作ったものが自社に残ることです。広告は止めると表示されなくなりますが、記事や資料は作ったあとも残ります。一度書いた答えは、記事としても、営業の資料としても、何度でも使えます。3つ目は、売り込まずに接点を持てることです。すぐには発注しない相手とも、役に立つ情報を通して関係を続けられます。
デメリットも3つあります。成果が出るまでに時間がかかること、売上にすぐつながるとは限らないこと、そして作り続ける人手が要ることです。
| 中身 | 少ない人数の会社にとって | |
|---|---|---|
| メリット | 広告以外の入口から接点が持てる | 広告費を増やせなくても、接点を増やせる |
| メリット | 作ったものが自社に残る | 一度作った答えを、営業の場でも使える |
| メリット | 売り込まずに接点を持てる | 営業の人数が少なくても、関係を続けられる |
| デメリット | 成果が出るまでに時間がかかる | 手応えがないまま、数か月続くことがある |
| デメリット | 売上にすぐつながるとは限らない | 何を見て続けるかを、先に決めておく必要がある |
| デメリット | 作り続ける人手が要る | 施策を増やすほど、手が回らなくなる |
※表は筆者の整理
少ない人数の会社で特に負担になるのは、最後に挙げた、作り続ける人手です。記事も、メールも、SNSも、と施策を増やすほど、それぞれに企画と作業が要ります。担当者がほかの仕事と兼ねていれば、どれかが止まりやすく、やがて全部が止まることもあります。
少ない人数の会社では、施策の数を増やすほど人手が足りなくなるので、企画を増やさずに、1つの答えを何度も使う形を考えます。
顧客との関係の3つの段と、それぞれで使うコンテンツ
コンテンツマーケティングでは、相手との関係がいまどの段にあるかで、使うコンテンツが変わります。ここでは、「見つけてもらう」「関係を続ける」「決めてもらう」の3つの段に分けます。
1段目は、見つけてもらう段です。相手はまだ会社を知らず、仕事の困りごとを検索したり、SNSで情報を集めたりしています。ここで使うのは、検索で読まれる記事と、SNSの投稿です。2段目は、関係を続ける段です。一度接点を持った相手は、すぐには発注しないことがほとんどです。メールマガジンや、決まった順に送るステップメールで、役に立つ情報を届け続けます。3段目は、決めてもらう段です。相手が発注先を比べ始めたら、導入事例や営業で渡す資料で判断の材料を渡し、サービスのページや問い合わせにつなげます。
各段で使うコンテンツを別々に企画すると、少ない人数の会社では、第2章で挙げた人手の問題に行き当たります。
段によって使う形は違っても、中身まで別々に作る必要はありません。 元になる中身を1つ作る考え方は、第4章と第5章で説明します。
段ごとの作り方は、それぞれの記事で解説しています。記事を置く場所の作り方はオウンドメディアの記事で、メールマガジンの作り方はメルマガの記事で、決まった順に送るメールの作り方はステップメールの記事で解説しています。すぐには発注しない相手との連絡の続け方はナーチャリングの記事、メールの配信などをツールで自動にする方法はマーケティングオートメーションの記事で解説しています。相手がどの段で何を調べ、何に迷うかを洗い出すなら、カスタマージャーニーの記事が使えます。メールで関係を続ける方法の全体は、メールマーケティングの記事で解説しています。
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コンテンツの素材は、営業や問い合わせで毎回聞かれること
記事・メール・資料・SNSの元になる中身を1つ作るには、まず何について書くかを決めます。コンテンツの企画というと、新しいネタを考えることだと思われがちです。ただ、少ない人数の会社が毎回ネタを考えていると、そこで手が止まります。
素材は、すでに手元にあります。営業の場や、電話、問い合わせのメールで、お客さんから毎回のように聞かれていることです。「費用はどのくらいかかりますか」「どのくらいの期間でできますか」「ほかの方法と何が違いますか」。担当者が何度も同じ説明をしている問いは、まだ会社に問い合わせていない人も、同じように知りたいと思っていることが多いものです。
聞かれたことは、お客さんの言い方のまま書き留めます。お客さんの言い方には、何について調べるかの語(費用・期間など)がそのまま入っているので、記事のタイトルやメールの件名の元にできます。答えは、自社の経験と事実で書きます。どの会社でも書ける一般的な説明ではなく、自社ではどう答えているか、実際にどうだったかを書けるので、どこにでもある記事になりにくくなります。自社にしか書けない情報の見つけ方は、コンテンツSEOの記事でも解説しています。
聞かれたことを拾える場面は、次のとおりです。
| 拾える場面 | そこで聞かれやすいこと |
|---|---|
| 問い合わせのメール・フォーム | 依頼の前に気にしていること(費用・期間・対応できる範囲) |
| 見積もり・商談の場 | 比べられているときに聞かれること(ほかの方法・ほかの会社との違い) |
| 電話の受け付け | 言葉にしにくい困りごと・初歩の質問 |
| 導入したあとのサポート | 使い始めてからつまずくこと・次に知りたいこと |
※表は筆者の整理
書き留めるのは、営業の担当者や、電話を受ける担当者です。聞かれたことを、お客さんの言い方のまま1行で書くだけなので、1日数分で済みます。書き留める先は、社内で共有している表やチャットなど、1か所に決めます。2〜4週間続けると、何度も出てくる問いが見えてきます。その中から、答えを書く問いを1つ選びます。同じくらい聞かれる問いが並んだら、費用や期間のように、発注の前に聞かれるものから選びます。まだ問い合わせていない人が、検索で調べていることが多い問いだからです。最初の1本は、書き留めを待たずに、思い当たる問いから選んでかまいません。書き留めた問いは、2本目からの候補にします。
コンテンツの素材は新しく考えるものではなく、営業や問い合わせで毎回聞かれていることの中にあります。
1つの答えを、記事・メール・資料・SNSに形を変えて使う
第4章で選んだ問いへの答えを1つ作ったら、それを記事、メール、資料、SNSの投稿に形を変えて使います。企画は1つで、形を変える作業だけが増えます。
長い形から短い形へ、削りながら作っていきます。
- 記事:問いへの答え・その理由・自社の経験を全部書き、検索で読まれる形にする
- メール:記事の要点を短くまとめ、続きを記事で読んでもらう案内を付ける。送るのは、送ってよいと確かめた相手(同意と、その例外はメールマーケティングの記事で解説)
- 資料:営業の場で渡す1枚にする。提案書の1ページとして差し込むこともできる。商談で毎回説明している内容を、資料として渡せるようになる
- SNSの投稿:答えの中の一文や、問いそのものを切り出して投稿し、記事へ案内する
最初に記事を書くのは、記事がいちばん長く、答えの全部が入るからです。全部が書いてあれば、メールも資料もSNSも、そこから削って作れます。逆に、SNSの短い投稿から始めると、記事やメールにするときに、足りないところを書き足すことになります。
4つを全部作る必要はありません。記事のほかは、自社がすでに使っている形から選びます。たとえば、メールマガジンもSNSもまだ使っていない会社なら、記事と営業の資料の2つから始めます。
形を変えるときに調整するのは、長さ、最初の1文、行き先の3つです。
| 形 | 長さ | 最初の1文 | 行き先 | 使う段 |
|---|---|---|---|---|
| 記事 | 答えの全部 | 問いに一言で答える(タイトルは問いのまま) | サービスのページ・問い合わせ | 見つけてもらう |
| メール | 要点だけ | 読む相手が直面していそうな状況 | 記事 | 関係を続ける |
| 資料 | 1枚 | 結論 | 商談 | 決めてもらう |
| SNSの投稿 | 一文から数文 | 問いか、答えの中の一文 | 記事 | 見つけてもらう |
※表は筆者の整理
形を変えて作れる数には、限りがあります。目安は、答えの中にある主張の数です。ここでいう主張は、記事の中で、それだけを取り出しても意味が通る結論のことです。たとえば費用の記事で、「費用は頼む作業の範囲で変わる」「頼む作業を絞れば費用を抑えられる」と書いていれば、それぞれが1つの主張です。このサイトでも、記事1本からXの投稿を作っています。主張の数より多く作ろうとしたときは、同じことを言い方だけ変えた投稿が並びました。先に本数を決めず、答えの中に主張がいくつあるかを数えてから、何を作るかを決めます。
記事は、調べて書いて見直すまでに数時間かかります。書いた記事を、メール・資料・SNSの3つの形にする作業は、合わせて30分〜1時間ほどを見込みます。記事を書いた人がそのまま続けて作ると、早く済みます。答えの中身と、どの形で使うかは自社が決めます。記事を書く作業と、記事を置く場所の設計は、外部に頼めます。
少ない人数の会社は、記事・メール・資料・SNSを別々に企画せず、1つの答えを長い形から短い形へ削って使い回します。
コンテンツマーケティングの進め方:誰に向けて、どの順で、何を見るか
ここまでの話を、手を付ける順に並べます。
- 誰に向けるかを決める:どんな会社の、どんな立場の人に読んでほしいかを一言で書く。想定する読者の像は、ペルソナとも呼ばれる
- 段を洗い出す:読んでほしい人が、会社を知り、比べ、頼むまでに、何を調べ、何に迷うかを順に並べる。この記事の3つの段を、自社のお客さんの動きに沿ってさらに細かく分ける方法は、カスタマージャーニーの記事で解説している
- 聞かれたことから問いを選ぶ:第4章のとおり、毎回聞かれることを書き留め、1つ選んで答えを作る
- 記事にして、形を変える:第5章のとおり、記事を書き、メール・資料・SNSに形を変えて使う
- 数字を見る:どの記事を読んで問い合わせが来たか、メールのリンクが押されたか・返信があったか、資料を渡した商談がどうなったかを見る
手順1と2は、手順3と並べて進めてかまいません。最初の1本を書く前に、1と2を終えている必要はありません。ホームページの中にブログがあれば、最初の1本はそこに書いてかまいません。
数字を見る時間は、まず月に1回、30分ほどを目安にします。どの数字を見るかは、自社で決めます。記事を読んで来た問い合わせかどうかは、問い合わせのフォームに「どこで知りましたか」の欄を足し、電話でも同じことを聞いて記録すると分かります。
進め方は、聞かれたことから問いを選び、その答えを形を変えて使い、月に1回数字を見て次の問いを選ぶ、の繰り返しです。
検索で探されていない商材でも、答えを記事の形で書いておけば、メールや資料の元になります。その記事をオウンドメディアとして積み上げていくかどうかは、お客さんが検索で情報を探しているか、記事を書き続けられるか、成果が出るまで待てるかで決めます。積み上げると決めたら、本数が増える前に、置き場所や記事の分け方を決めておきます。始めたあとに続けるかどうかの判断は、ブログ集客の記事で解説しています。答えを記事にしたあと、メールで届けるところから整えるならメールマーケティングの記事、記事を置く場所から整えるなら、その決め方と作り方を解説しているオウンドメディアの記事が、次の1本です。
関連記事オウンドメディアとは?ホームページとの違いと、記事を書く前に決める分け方と設定
ARROWSのオウンドメディア構築
第4章の「毎回聞かれること」を記事にし、第5章の形で使い回すには、元になる記事を置く場所が要ります。ARROWSのオウンドメディア構築では、その場所を作る前に、何について書くか、読んだあとにどう行動してもらうか、誰が書き続けるかの3つを設計します。何について書くかは、自社のサービスに関係するテーマや、お客さんが依頼を検討するときに調べる内容に絞ります。毎回聞かれることは、この絞り込みにそのまま使えます。
記事を書き続ける人が社内にいない場合は、SEO記事の作成代行で、記事の制作を続けて依頼できます。月に1回の打ち合わせで、お客さんからよく受ける質問や、現場での仕事の進め方をお聞きし、翌月の記事の軸にします。
記事を読んだ方から問い合わせがあると、どの記事を読んで来たかが、1件ごとに通知のメールに載ります。フォームの「どこで知りましたか」の答えと合わせると、第6章で数字を見るときに、どの答えが問い合わせにつながったかが分かります。
まとめ
コンテンツマーケティングは、役に立つ情報で顧客との関係を作る活動の全体です。少ない人数の会社なら、施策を増やすより、毎回聞かれることへの答えを1つ作り、形を変えて使い回すほうが続けられます。今週は、営業や問い合わせで毎回聞かれていると思い当たるものを3つ書き出し、そのうち1つを最初の1本にしてください。あわせて、聞かれたことの書き留めも始めてください。




