バリュープロポジションとは
バリュープロポジション(顧客価値提案)は、自社がお客さんに約束する価値を、一文にしたものです。一般に、次の3つが重なるところだと説明されます。
- お客さんが求めていること
- 自社が出せること
- 比べられる相手が出せないこと
3つのどれかが欠けると、お客さんが自社を選ぶ理由になりません。お客さんが求めていないことを約束しても、響きません。自社が出せないことを約束すれば、約束を破ることになります。比べられる相手も同じことを出せるなら、値段のほかに違いが見えにくくなり、値段で比べられやすくなります。なお、比べられる相手が出せないことは、相手にその力が無いことまで確かめる必要はなく、お客さんが比べた場面で、相手からは出てこなかったことを指します(第6章)。
よく並べて語られる言葉に、USP(ほかにはない売り)があります。USPは、売り手が自社の商品の特徴から打ち出すものとして語られることが多い言葉です。バリュープロポジションは、お客さんが求めていることから始まり、比べられる相手との違いまでを含めて考えます。
3つの中でいちばん書き違えやすいのは、1つ目のお客さんが求めていることです。社内で考えると、自社が力を入れていることや、自社が得意だと思っていることを書きがちです。ところが、お客さんが自社を選んだ理由は、社内で思っている強みとずれることがあります。KSF(重要成功要因)の記事では、部品加工会社が社内でいちばんの強みだと思っていた加工の精度を、受注・失注のお客さんが誰も挙げていなかった例を紹介しました。
バリュープロポジションは、お客さんが求め、自社が出せて、比べられる相手が出せないことの重なりを、一文にしたものです。
バリュープロポジションキャンバスとの違い
バリュープロポジションを考える道具として、バリュープロポジションキャンバスがよく紹介されます。Strategyzer社の共同創業者のアレックス・オスターワルダーらが、2014年の著書『Value Proposition Design』(邦訳『バリュー・プロポジション・デザイン』)で解説している図です。
キャンバスは、右と左の2つに分かれています。右には、対象にするお客さんの層を1つ決めて、その人たちがしたいこと(ジョブ)、そのときに困っていること(ペイン)、得たいこと(ゲイン)を書きます。左には、自社の商品やサービスと、それがどの困りごとを減らし、何をもたらすかを書きます。そのうえで、左と右が合っているかを見ます。
| バリュープロポジションキャンバス | お客さんに約束する一文 | |
|---|---|---|
| 書くもの | お客さんのしたいこと・困りごと・得たいことと、自社の商品が減らす困りごと・もたらすこと | 誰に、何を約束するか |
| 向いている場面 | 新しい商品やサービスを考えるとき | いまある商売で、選ばれる理由をお客さんに伝えるとき |
| 材料 | お客さんへのインタビュー・観察・仮説 | 受注したお客さんが言った、頼んだ理由 |
※筆者の整理
新しい商品やサービスで、まだ受注が無いときは、キャンバスでお客さんの困りごとを書き出し、仮説を立てて確かめていきます。一方、すでに仕事を受けている会社なら、キャンバスの右側に書く困りごとや得たいことの多くは、受注したお客さんの言葉に、すでに出てきています。第4章で紹介する受注②の言葉でいえば、「来週の設計の見直しで形を確かめたい」はしたいこと、「ほかでは、数をまとめてほしいと言われた」は困りごと、「1個で足りる」は得たいことです。
新しい商品を考えるときはキャンバス、いまある商売の約束を書くときは、受注したお客さんの言葉から一文を書くほうが早く進みます。
バリュープロポジションの作り方
バリュープロポジションは、一般に次の順で作ります。
- お客さんの声を集める(インタビューやアンケート)
- 自社の強みを書き出す
- 比べられる相手との違いを見る
- 3つが重なるところを、一文にまとめる
新しい商品を作るときや、受注の記録がほとんど無いときは、この順で進めます。お客さんの声を集めるところから始まるので、まずインタビューやアンケートを考えることになります。
ただ、すでに受注がある会社では、手順1の材料が手元にあります。この記事では、手順1と手順2の中身を差し替え、手順4のあとに、確かめる手順を足して進めます。
手順1では、新しく聞きに行く前に、受注した案件でお客さんが言った頼んだ理由を、言ったとおりに集めます(第4章)。手順2では、社内で強みを書き出す前に、値下げを求めずに頼んでくれたお客さんの共通点から、「誰に」約束するかを決めます(第5章)。自社が出せることは、そのお客さんの言葉に応える仕事として、第6章で書きます。手順3と手順4で、3つの重なりを埋めて一文にし(第6章)、最後に、次の問い合わせで同じ言葉が返ってくるかで確かめます(第7章)。
言葉を集めるのは、お客さんとやりとりしている営業の担当者です。一文の案は担当者が作り、決めるのは経営者です。
受注がある会社は、新しく聞きに行く前に受注したお客さんの言葉を集め、「誰に」を決めて一文にし、次の問い合わせで確かめます。
受注したお客さんが言った「頼んだ理由」を、言ったとおりに集めて材料にする
ホームページや会社案内に書く言葉を社内で考えると、「品質」「丁寧な対応」「信頼」といった言葉が並びがちです。どれも本当のことかもしれませんが、比べられる相手も同じ言葉を使えます。社内で考えた言葉には、比べた相手との違いが入りにくいのです。
私は、「高品質」という言葉は、それだけでは選ばれる理由にならないと考えています。その品質が、お客さんのどんな困りごとを、比べられる相手にはできない形で解いているのか。そこまで具体的にして、はじめて選ぶ理由として伝わります。ただ、それを社内だけで考えると、また自社が言いたいことに戻ってしまいます。
そこで、お客さんが比べたうえで自社に頼んだ理由として言った言葉を、材料にします。お客さんは、ほかの会社と比べて頼む先を決めています。そのとき口にした理由には、比べた相手との違いと、それがなぜ自分の役に立ったのかが入っていることが多くあります。
この記事では、KSFの記事やバリューチェーンの記事と同じ、急ぎの小口の試作を請け負う架空の部品加工会社で見ていきます。KSFの記事では、最近受注した3件と失注した3件を選び、お客さんが頼む先を決めた理由(決め手)を短い言葉で書き出しました。決め手の拾い方は、KSFの記事で解説しています。
関連記事KSFとは?意味と、受注・失注の決め手から見つける方法【テンプレート付き】
KSFの記事で拾った受注3件の決め手は、「見積もりがその日のうちに届いた」(受注①・②)、「1個から受けてくれた」(受注②)、「工場が近く、すぐ来てくれた」(受注③)でした。決め手を数えるには、こうした短い言葉が向いています。
ただ、短くまとめると落ちるものがあります。受注①のお客さんの言葉が、見積書の控えに残したメモにこう書いてあったとします。
短くまとめた決め手には「見積もりがその日のうちに届いた」しか残りません。言ったとおりに書き写すと、それがなぜ助かったのか(来週の会議に試作が間に合った)と、速さのほかに何が役に立ったのか(早く作るための一言が添えてあった)が残ります。第6章で見るように、この「速さのほか」が、一文を書くときに効いてきます。
受注3件の言葉を書き写し、比べた相手と、値下げを求められたかを横に並べると、次のようになりました。
| 案件 | 決め手(お客さんの言葉で) | 比べた相手 | 値下げを求められたか |
|---|---|---|---|
| 受注① | 見積もりがその日のうちに届いたので、すぐに頼めて、来週の会議に試作の2個が間に合った。角の丸みを少し大きくすれば1日早くできる、と書き添えてあったのも助かった | 不明(ほかに2社) | なし |
| 受注② | 1個だけなのに、その日のうちに見積もりが来た。ほかでは、数をまとめてほしいと言われた。来週の設計の見直しで形を確かめたいだけなので、1個で足りる。穴の位置を少しずらせば早く作れる、という一言もありがたかった | 不明(ほかに1社) | なし |
| 受注③ | 工場が近く、すぐ来てくれた。組み付ける相手の部品を見てもらえたので、話が早かった | 不明 | あり(見積もりのあとで、値引きの相談があった) |
※架空の部品加工会社の例。決め手はKSFの記事の受注3件と同じで、そのときのお客さんの言葉を書き写したもの
お客さんの言葉は、見積書の控え、営業の日報、お客さんからのメール、打ち合わせのメモから書き写します。記録の欄を作るなら、CRMの記事で挙げた「決め手と失注の理由(お客さんの言葉で)」と「結果と比べた相手」の欄が、そのまま使えます。書き写すときは、言葉を整えたり、社内の言い方に言い換えたりしないことが大切です。「来週の会議に試作の2個が間に合った」を「納期対応力」と書き換えると、お客さんが何に困っていたのかが消えてしまいます。
記録が少ないとき、言葉が残っていないとき、新しい商品でまだ受注が無いときは、お客さんに聞いて足します。「丁寧だった」のような短い言葉しか残っていないときも、何があってそう感じたのかを聞いて足します。言葉が記録に無く、担当者が覚えているだけのときは、覚えている言葉を書いて「記憶」と印を付けておき、次にそのお客さんと話すときに確かめます。言ったとおりの言葉が残っている案件を先に書き写しておくと、聞くのは、言葉が残っていない案件だけで済みます。聞き方は、KSFの記事で紹介しています。
書き写す手間は、営業の担当者が1件数分です。
一文の材料は、受注したお客さんが頼んだ理由として言った言葉を、短くまとめずに言ったとおりに集めます。
「誰に」は、値下げを求めずに頼んでくれたお客さんの共通点で決める
一文を書くには、誰に約束するのかを決める必要があります。よく「ターゲットを決める」と言われるところです。ただ、業種や会社の規模、地域を想像で決めると、お客さんが自社を選んだ理由とつながらないことがあります。
そこで、受注したお客さんのうち、値下げを求めずに頼んでくれたお客さんの共通点から、「誰に」を決めます。値下げを求めずに頼んでくれたなら、値段のほかにも、そのお客さんが自社を選ぶ理由があったと考えられます。比べた相手のほうが安かったと分かっていれば、なおはっきりします。あわせて、頼んだ理由の言葉に「安かった」のような値段の話が出てこないかを見ます。出てくる案件は、ここでは外します。値段のほかの理由で選んでくれたお客さんに向けて一文を書けば、その理由を、そのまま約束にできます。値下げしなくても選ばれるかという考え方は、3C分析の記事で解説しています。
関連記事3C分析は、埋めた後に何を確かめるかで決まる【テンプレート付き】
部品加工会社の受注3件を、値下げを求められたかで分けると、受注①と②は見積もりの金額のまま決まり、受注③は見積もりのあとで値引きの相談がありました。
受注と失注を全部並べて共通点を見ると、お客さんの人物像はまとめられます。ここでは、そのうち値下げを求めなかった案件だけを並べます。受注①と②の言葉を並べると、共通点が見えてきます。どちらも、社内の会議や設計の見直しといった日程に、試作を間に合わせたい人でした。頼んだのは、1個か2個の試作です。そして、どちらも、早く作るための一言を役に立ったこととして挙げています。そこで、この会社の「誰に」は、「会議や設計の見直しに、試作を間に合わせたい担当者」としました。
受注③のお客さんは、近くで部品を見てもらえたことを決め手にしていました。値引きの相談があったからといって、合わないお客さんだというわけではありません。この一文で約束する相手を、受注①と②のようなお客さんに決める、ということです。受注③のようなお客さんからも、これまでどおり仕事を受けます。
3件で「誰に」を決めきれないときは、受注の言葉を書き足し、値下げを求められなかった案件が増えたところで、共通点を見直します。案件が増えるほど、共通点ははっきりします。
「誰に」は、業種や規模の想像ではなく、値下げを求めずに頼んでくれたお客さんの共通点で決めます。
3つの重なりを埋めて、一文にする
「誰に」が決まったら、第1章の3つの重なりを、表の欄に分けて埋めます。
| 欄 | 書くこと | 部品加工会社の例 |
|---|---|---|
| 誰に | 第5章で決めた、値下げを求めずに頼んでくれたお客さんの共通点 | 会議や設計の見直しに、試作を間に合わせたい担当者 |
| お客さんが求めること | 第4章の言葉から、言い換えずに抜き出す | 来週の会議に試作の2個が間に合った。1個で足りる |
| 自社が出せること | 求めることに応える、自社の仕事 | 1個からでも、その日のうちに見積もりを返す。早く作るための一言を添える |
| 比べられる相手が出せないこと | 比べられる相手と並べて、自社にしか無いもの(推測なら、推測と書く) | 早く作るための一言(ネットの試作サービスからは出てきにくい=推測。表面処理まで受ける会社は不明) |
| 一文 | 4つの欄から、重なる言葉をまとめて一文にする | 会議や設計の見直しに試作を間に合わせたい担当者に、1個からでも、早く作るための一言を添えた見積もりを、その日のうちに返す |
※架空の部品加工会社の例
いちばん迷うのは、比べられる相手が出せないことの欄です。比べられる相手は、実際に見積もりで比べられた相手から選びます。ポジショニングマップの記事では、部品加工会社が比べられた相手として、ネットの試作サービスと、表面処理まで受ける加工会社の2つが分かっていました。
ここで、見積もりの速さだけで一文を書くと、うまくいきません。ポジショニングマップの記事で紹介したとおり、図面を送ると自動で見積もりが出るネットの試作サービスは、この会社より速く見積もりを返します。速さだけを約束すると、この相手と比べられたときに違いになりません。
そこで、第4章で書き写した言葉に戻ります。受注①と②のお客さんは、速さのほかに、「早く作るための一言が添えてあった」ことを挙げていました。自動の見積もりは、送られた図面をもとに値段を返すので、図面をこう変えれば早く作れる、という一言は、ネットの試作サービスからは出てきにくいと考えられます。表面処理まで受ける加工会社がこうした一言を添えるかは、記録からは分かりません。ここは推測なので、第7章で確かめます。第1章で触れたとおり、「比べられる相手が出せない」は、お客さんが比べた場面で、相手からは出てこなかったことを指します。確かめきれていなくても、推測と書いたまま一文の案を置き、問い合わせで確かめていけばかまいません。
短くまとめた決め手だけを見ていたら、この欄には「速さ」しか入らず、ネットの試作サービスとの違いは書けませんでした。お客さんの言葉を言ったとおりに残したことで、速さのほかの部分を、比べられる相手が出せないことの候補として書けます。反対に、言葉を並べても、相手も出せることしか見つからないときは、無理に一文にせず、第4章に戻って受注の言葉を書き足します。
一文を書くときは、お客さんの言葉を残します。「来週の会議に試作の2個が間に合った」を「迅速な納期対応」と言い換えると、どの会社も書ける言葉に戻ってしまいます。
ここまでの表で、一文は書けます。KSFの記事やSWOT分析の記事を読んだ方へ、違いを補っておきます。2つの記事でも、一文を書きました。「当日中に見積もりを返せる速さを生かして、急ぎの試作の注文を受ける」という一文(の後半)です。あちらは、社内で何に力を入れ、何で勝つかを決める一文で、お客さんに見せるものではありません。この章の一文は、お客さんに約束する一文で、誰に向けたものかと、お客さんが使った言葉(会議、1個、早く作る)が入っています。また、3C分析の記事で取り出した「値下げしなくても選ばれる理由」は、この一文の「比べられる相手が出せないこと」の欄に当たります。
一文は、「誰に」と、お客さんが求めること、自社が出せること、比べられる相手が出せないことの4つの欄を埋め、お客さんの言葉を残してまとめます。
書いた一文は、次の問い合わせで同じ言葉が返ってくるかで確かめる
一文は、書いただけでは当たっているか分かりません。Strategyzer社も、キャンバスの解説の中で次のように書いています。
Fit is a claim until customers confirm it.
(キャンバスの左右が合っているというのは、お客さんが確かめるまでは、こちらの主張にすぎない、という意味です。続けて、証拠に当てて確かめ、直すように書いています。)
出典:Strategyzer『The Value Proposition Canvas』
書いた一文も同じです。確かめるために、書いた一文を、お客さんの目にふれる場所に置きます。ホームページのトップ、会社案内の最初のページ、提案書の1枚目などです。決めた一文は、ブランディングの記事でいう「会社の定義」に当たります。そこから、使う言葉と使わない言葉を決め、ホームページや会社案内などの制作物に落とし込む進め方は、ブランディングの記事で解説しています。
関連記事ブランディングとは、選ばれる理由を決めて発信し続けること
置いたあとは、問い合わせや最初の打ち合わせで、お客さんが一文と同じ言葉を使って頼んでくるかを記録します。CRMの記事で挙げた「どこで知ったか」「何を頼みたかったか」の欄と並べて、お客さんが使った言葉を書く列を1つ足します。
部品加工会社が、ホームページのトップに一文を置いたあとの問い合わせを、3件記録したとします。
| 問い合わせ | どこで知ったか | 何を頼みたかったか | お客さんが使った言葉 | 一文と同じ言葉か |
|---|---|---|---|---|
| A | ホームページ | 樹脂のケースの試作1個 | 来週の会議に間に合わせたい。1個でも頼めますか | 同じ |
| B | ホームページ | 金具の試作5個 | 早く作れる形があれば、教えてほしい | 同じ |
| C | ホームページ | 部品の試作3個 | めっきまで一緒に頼めますか | 違う |
※架空の部品加工会社の例
同じ言葉といっても、一字一句ではありません。一文の中の言葉(会議に間に合わせたい、1個から、早く作る)が、お客さんの言葉に出てくるかを見ます。AとBは、一文の言葉を使って頼んできています。どちらもホームページから来た問い合わせなので、一文は、届いてほしい相手に届いていると考えられます。Cは、表面処理まで、まとめて頼みたいお客さんでした。表面処理までまとめて受けられるかは、KSFの記事で、この会社が協力会社と組めるかを確かめることにした点です。一文が外れたというより、一文で約束していない相手から問い合わせが来た、と読めます。Cのような問い合わせが続いても、すぐに「誰に」を変えるのではなく、KSFの記事で取り上げた、協力会社と組むか、急ぎの試作に絞るかの判断に戻ります。
お客さんの言葉が一文と違う問い合わせが続くときは、一文を直します。続いているかは、次に書く見直しのときに、表の「同じ」と「違う」を数えて見ます。直すのは、「誰に」か「何を」のどちらかです。問い合わせてきたのが、「誰に」で決めた相手とは違う人なら「誰に」を、同じような人なのに違う言葉で頼んでくるなら「何を」を見直します。一文と同じ言葉を使っているのに受注に結びつかないなら、「何を」が比べられる相手との違いになっていないのかもしれません。結果は、CRMの表の「結果」の列と並べて見ます。ネットの試作サービスと比べて断られたら、早く作るための一言が、本当に相手には出せないのかを聞いて確かめます。
見直しは、四半期に1回を目安にします。KSFの記事やポジショニングマップの記事で、決め手を数え直すのと同じ時期です。新しい受注があれば、その言葉も第4章の表に書き足しておきます。
作業は、自社でやることと、外に頼めることに分かれます。お客さんの言葉を集め、「誰に」を決め、一文を書き、問い合わせで確かめるのは、自社でやります。お客さんが何と言って頼んだかを知っているのは、社内の人だからです。外に頼めるのは、決めた一文を、ホームページや会社案内、提案書に落とし込むことと、集めた言葉から、一文の案を作る手伝いです。
書いた一文は、お客さんの目にふれる場所に置き、次の問い合わせでお客さんが同じ言葉を使って頼んでくるかで確かめ、返ってこなければ「誰に」か「何を」を直します。
バリュープロポジションのテンプレート
自社でバリュープロポジションを書くときに使えるように、この記事の手順に沿ったテンプレート(Excel)を用意しました。ファイル1つに、次の5つのシートが入っています。
- 使い方:書く順番と、それぞれのシートで何を書くか
- 1_受注の言葉を集める:受注した案件ごとに、お客さんが言った頼んだ理由を言ったとおりに書き、短くまとめた決め手、比べた相手、値下げを求められたかを書く
- 2_一文にする:誰に、お客さんが求めること、自社が出せること、比べられる相手が出せないことを書き、一文にまとめる
- 3_確かめる:問い合わせごとに、どこで知ったか、何を頼みたかったか、お客さんが使った言葉を書き、一文と同じ言葉かを付ける
- 4_記入例:架空の部品加工会社で、受注3件の言葉から一文を書き、問い合わせ3件で確かめた例
「受注の言葉を集める」「一文にする」「確かめる」の順にシートを埋めると、お客さんの言葉で書いた一文と、それが届いているかの記録までそろいます。 決め手は、KSFのテンプレートの「1_決め手を書く」に書いたものを、短くまとめた決め手の列に写せます。
バリュープロポジションのテンプレート(Excel)をダウンロードする
※登録や個人情報の入力は要りません。クリックすると、Excelのファイル(バリュープロポジションテンプレート.xlsx)がダウンロードされます。
ARROWSのマーケティングコンサルティング
ARROWSのマーケティングコンサルティングで最初につくる、半年の集客の設計図にも、第6章の表に近い欄が2つあります。お客さんに選ばれる理由を1〜2行にまとめる「強みの整理」と、届ける相手と、その相手に届く言い方を書く「狙うお客様」です。第6章の表でいえば、「一文」と「誰に」にあたります。どちらも、事業の内容と集客に関する数字を伺ってから書きます。
集客の施策は、この2つを決めてから選びます。選ばれる理由と違う点を売り込んだり、本当の強みを伝えられないまま広告費を使ったりしないためです。施策を始めたあとは、その結果の数字を見ながら、戦略と施策を毎月見直します。
まとめ
小さな会社がバリュープロポジションを書くときは、受注したお客さんが頼んだ理由として言った言葉を、言ったとおりに集め、値下げを求めずに頼んでくれたお客さんの共通点で「誰に」を決めると、比べられる相手が出せないことまで含んだ一文が書けます。書いた一文は、次の問い合わせでお客さんが同じ言葉を使うかで確かめます。
まずは、最近受注した3件の記録を開き、お客さんが頼んだ理由として言った言葉を、そのまま書き写してみてください。KSFのテンプレートに決め手を書いてあれば、それをこのテンプレートの短くまとめた決め手の列に写し、その左に、言ったとおりの言葉を足していきます。




