ホームページの制作に使える補助金

ホームページの制作費に使える補助金は、大きく国の補助金と、区や市などの自治体の補助金に分けられます。

国の補助金のうち、ホームページの制作に使える代表的な制度が、小規模事業者持続化補助金です。小さな会社や個人事業主が、販路を広げる取り組みにかけた費用の一部を補助する制度で、ホームページの制作費は「ウェブサイト関連費」として対象になります。従業員数の条件は、常時使用する従業員が、商業・サービス業では5人以下、製造業その他および宿泊業・娯楽業では20人以下であることです。このほかにも条件があり、まだ開業していない創業予定の方は申請できません。また、ホームページの制作費だけでは申請できません。戻る額を含む詳しい条件は、第2章で説明します。

もう1つ、名前がよく挙がるのが、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)です。業務を効率化するソフトウェアなどを導入する費用を補助する制度ですが、公式のよくある質問(通常枠)には、〈ホームページ制作(ECサイト制作含む。)は補助対象外です。〉と書かれています。

区や市の中には、ホームページの作成費を独自に補助しているところがあります。たとえば東京都の荒川区は補助対象経費の2分の1(上限20万円)、葛飾区は2分の1(日本語のホームページは上限5万円)、中央区は一般枠で2分の1(上限30万円)を補助しています(いずれも2026年度)。条件は区ごとに異なります。たとえば、中央区ではホームページ制作を主な業務とする業者への委託が必要です。荒川区では、事業者が自ら制作したホームページは対象になりません。

ホームページに使える補助金(2026年9月時点) 制度 ホームページの制作 受け取れる上限 申請の時期 小規模事業者 持続化補助金 対象 (ほかの経費と一緒に) ウェブサイト関連費で 30万円まで 第20回の締切 2026年12月15日 デジタル化・AI導入補助金 (旧IT導入補助金) 対象外 ホームページは対象外のため該当なし 区や市の補助金 区や市による 例:荒川区 20万円 葛飾区 5万円 中央区 30万円 年度内に受付 (作る前に申請)
図1:ホームページに使える補助金。持続化補助金は第20回の募集の資料(公募要領 第8版)、デジタル化・AI導入補助金は公式のよくある質問、区は各区のページによる(2026年9月28日時点)。

自社の所在地で利用できる補助金があるかは、「区や市の名前 ホームページ 補助金」で検索するか、区や市の産業振興の窓口、地域の商工会・商工会議所に問い合わせて確かめます。

まだホームページを持っておらず、そもそも作るべきか迷っている場合は、自社名で検索したときに何が表示されるかを見て、作るかどうかを決める方法をこちらの記事で解説しています。

関連記事ホームページがない会社のデメリットとは?作るかどうかは自社名を検索して決める

持続化補助金で、いくら戻るか

国の補助金でホームページに使える持続化補助金について、戻る額と条件を見ていきます。内容は、2026年9月時点で公開されている第20回の公募要領(募集の条件と日程をまとめた資料)によるものです。

持続化補助金(通常枠)では、補助の対象になる経費の3分の2が補助され、上限は50万円です(賃金の引き上げなどの特例に当たると上乗せがあります)。このうち、ホームページの費用(ウェブサイト関連費)で受け取れる補助金は、30万円までと決まっています。

補助率が3分の2なので、ウェブサイト関連費で30万円を受け取るには、補助の対象になる経費が45万円必要です。45万円を超える費用をかけても、ウェブサイト関連費として受け取れる補助金は30万円までです。

この45万円を税込みで数えてよいかは、事業者の区分で変わります。一般課税(原則課税)で消費税を申告している事業者は、消費税を除いた額で数えます。45万円(税抜き)の経費なら、制作会社への支払いは49万5千円(税込)です。免税事業者と、簡易課税・2割特例で申請する事業者は、消費税を含めた45万円で申請できます。自社が一般課税、簡易課税、2割特例、免税のどれに当たるか分からない場合は、税理士や経理の担当者に確かめてください。

45万円の経費で、30万円が補助金としてあとから戻る 補助の対象になる経費 45万円 補助金 30万円(3分の2) 自己負担 15万円 ① まず制作会社に 全額を払う ② 実績報告と額の確定のあと 補助金が入る 消費税を含めるかは事業者の区分による(一般課税の事業者は税抜きで数える)
図2:ウェブサイト関連費で30万円を受け取るときの額と、お金の流れ。第20回公募要領(第8版)による。

戻る額のほかに、申請の前に知っておきたい条件が3つあります。

1つ目は、ホームページだけでは申請できないことです。補助金が出るのは、ホームページを作ること自体ではなく、販路を広げる取り組み全体です。申請では、誰に何を売り、そのために何をするかを事業計画にまとめ、その中の1つとしてホームページを位置づけます。ホームページのほかに、チラシの作成や展示会への出展、店舗の改装などの経費を組み合わせることになります。

2つ目は、補助金が後払いであることです。制作会社には、いったん自社で全額を払います。事業が終わってから実績を報告し、補助金の額が確定したあとに請求して、補助金を受け取ります。先に全額を払える資金が要ります。また、受け取った補助金は、法人税・所得税の課税対象になります。

3つ目は、申請すれば必ず受け取れるわけではないことです。申請には審査があり、採択されなければ補助金は出ません。補助金を受け取ったあとも、補助事業の終了から1年後に、事業の状況を報告する必要があります。

ホームページの制作費が何で決まり、見積もりの金額がなぜ会社ごとに違うのかは、ホームページリニューアル費用の記事で解説しています。

関連記事ホームページリニューアル費用の相場は?見積もりが会社ごとに違う理由と、費用を抑えるための準備

いつ作り始められるかを、第20回の日付で数える

補助金でホームページを作るときに、いちばん気をつけたいのが、発注できる時期です。持続化補助金では、補助金の交付が決まった日(交付決定日)より前に発注・契約した費用は、補助の対象になりません。審査に通ったことを知らせる通知(採択通知)が届いた段階でも、まだ発注はできません。公募要領には、〈補助金交付決定通知書の前に送付される採択通知書だけでは、補助事業を始めることはできません〉と書かれています。

では、いまから準備を始めると、いつ発注できるのか。第20回の公募要領に書かれた日程を、順番に並べてみます。

いつ何をする誰がやるか
申請の前(取得に数週間)GビズIDプライム(国の補助金の電子申請に使うアカウント)を取る自社
2026年12月4日(金)まで地域の商工会・商工会議所に、事業支援計画書(様式4)の発行を頼む自社が依頼し、商工会・商工会議所が発行
2026年12月15日(火)17:00まで事業計画をまとめて申請する自社
2027年3月頃(予定)採択発表事務局
採択発表から交付決定まで(概ね1〜2か月・目安)制作会社から見積書を取り寄せて提出し、交付決定を受ける(税込50万円を超える発注は2社以上の見積もり)自社(見積もりは制作会社)
交付決定日から制作会社に発注・契約する自社
2028年3月31日まで制作・公開を完了し、支払いを終える制作会社・自社
そのあと実績報告を出し、補助金の額が確定してから請求する自社
事業が終わって1年後その後の状況を報告する自社

※2026年9月28日時点で公開されている第20回公募要領(第8版)による。日程は予定で、変更されることがある。商工会議所の地区の事業者は、商工会議所地区の事務局が窓口になる(公募要領と日程は同じ)。

第20回で数えると、発注できるのは早くて2027年4〜5月ごろ 2026年9月 準備を始める 12月4日 様式4の締切 12月15日 申請の締切 2027年3月頃 採択発表(予定) 4〜5月ごろ 交付決定・発注 2028年3月31日 公開と支払いの期限 ここまでは発注できない(交付決定より前の発注は対象外) 採択発表は予定、交付決定までの期間は目安。どちらも後ろにずれることがある
図3:持続化補助金の第20回で、準備を始めてから発注できるまでの日付。第20回公募要領(第8版)による(2026年9月28日時点)。

並べてみると、いま準備を始めても、制作会社に発注できるのは早くて2027年4〜5月ごろです。採択発表の時期は予定で、交付決定までの1〜2か月も目安なので、これより後になることもあります。第20回の締切に間に合わなければ、次の回を待つことになり、次の回の日程は第20回の締切のあとに案内されます。

申請までに自社でやる作業は、GビズIDの取得、事業計画の作成、商工会・商工会議所への相談と様式4の依頼です。申請の時点でも、事業計画には経費の金額を書き、審査では金額の積算が正確かどうかも見られます。申請前に制作会社へ制作内容を相談し、概算見積もりを依頼しておきます。正式な見積書は、採択発表のあと、交付決定までに出します。事業支援計画書(様式4)の発行依頼の受付締切は申請の締切より11日早く、〈受付締切以降の発行依頼は、いかなる理由があってもできません〉とされているので、商工会・商工会議所には早めに相談しておきます。

区や市の補助金は、年度内に申請して作る

国の持続化補助金では、いま準備を始めても、発注できるのは早くて2027年4〜5月ごろでした。区や市の補助金では、申請から発注までの待ち時間が国の補助金とは異なります。

第1章で例に挙げた3つの区(荒川区・葛飾区・中央区)で見ると、まず、制作に取りかかる前に申請するという点は、国の補助金と同じです。荒川区の募集要項には〈契約締結(作成着手)後の申請は受け付けません〉、葛飾区のページには〈申請時にホームページの作成、改修に着手する前であること。〉と書かれています。これらの区でも、作り始めてから申請することはできません。また、区の補助金は、申請の時点で制作会社の見積書(写し)が要ります。

違うのは、待つ長さです。3つの区はいずれも年度内に申請を受け付け、同じ年度のうちに制作と支払いを終える形です。荒川区と葛飾区は2027年2月26日まで申請を受け付けており、中央区の下半期分は2026年10月1日から受付が始まります。中央区は、審査に〈およそ1か月程度〉かかるとしており、交付決定のあとに公開と支払いをします。早めに申請すれば、その年度のうちに公開まで進められます。ただし、補助金の交付が決まる時点は区によって違い、葛飾区は、作り終えて実績報告を出したあとに交付決定の通知を出します。

国も区も、作る前に申請する。違うのは待つ長さ 国(持続化 第20回) 申請 採択発表・交付決定を待つ 交付決定・発注 区(例:中央区) 申請 審査 約1か月 交付決定 年度内に公開・支払い 区の例は中央区。受付期間・上限・条件・交付決定の時点は区ごとに違う
図4:国の持続化補助金(第20回)と、区の補助金(中央区の例)の待つ長さ。長さは比べやすくした目安で、正確な縮尺ではない。

ただし、区の補助金には、国とは別の注意点があります。1つは、予算に限りがあることです。葛飾区は〈受付順で予算の範囲内とします。〉、中央区は〈先着順のため、予算額に達し次第受付終了します。〉としており、締切日より前に受付が終わることがあります。また、国の補助金より上限が小さいこともあります。葛飾区の上限は、日本語のホームページで5万円です。さらに、区の補助金は、新しく作るか全面的に作り直す費用が対象で、中央区と葛飾区では、ページの追加だけでは対象になりません。

東京都のほかの区や、ほかの市町村でも、ホームページの作成費を補助していることがあります。「区や市の名前 ホームページ 補助金」で検索するか、産業振興の窓口や地域の商工会・商工会議所に聞いてみてください。制度が見つかったら、受付期間、上限、委託できる制作会社の条件、交付決定の時点、支払いの期限を確かめ、作り始める前に申請します。

補助金を待つか、使わずに先に作るかを決める

ここまでで、補助金を使うといくら戻り、いつ作り始められるかが分かりました。最後に、自社に合った進め方を考えます。次の4つを比べます。

  • 公開したい時期:採用を始める、創業する、移転する、今のサイトの情報が古いなど、いつまでに公開したいか
  • 発注できる時期:持続化補助金なら、早くて2027年4〜5月ごろ(第3章)。区や市の補助金なら、申請のあと(中央区は審査におよそ1か月。いつから作れるかは区ごとに違う)
  • 戻る額:持続化補助金のウェブサイト関連費で、最大30万円
  • 条件:ほかの販路開拓の取り組みと組み合わせられるか、先に全額を払えるか、報告の手間をかけられるか、数年のうちに作り直す予定がないか

検索からの集客も考えているなら、公開してから検索で見つけてもらえるまでの時間も見込んで、公開したい時期を考えます。公開してからも、検索結果で上位に表示され、クリックされるようになるまでには時間がかかります。このサイトでも、最初の記事を公開してから2週間は、記事へのクリックが0回でした。補助金を待って公開が遅れると、この時間もそのぶん後ろにずれます。検索からお客さんに来てもらう「SEO集客」に取り組み始めてから、実際に検索で見つけてもらえるまでに何が起きるかは、このサイトの数字をもとにこちらの記事で説明しています。

関連記事SEO集客とは?広告との違いとメリット・デメリット、始めてから最初に起きること

条件のうち「数年のうちに作り直す予定がないか」は、処分制限に関わります。関係するのは、補助金で作ったホームページを作り直したり閉じたりする予定がある場合です。公募要領では、50万円(税抜き)以上をかけて作成・更新したウェブサイトについて、通常は取得日から5年間、補助事業の目的以外での使用や廃棄などが制限されることがあるとしています。この期間に処分するときは、事務局の承認が必要です。補助金の一部の返還を求められることもあります。ただし、公募要領には、金額の条件を付けずに書いている箇所もあります。作り直す予定がある場合は、申請の前に事務局に「外注で作ったホームページが50万円未満でも、処分制限の対象になるか」を確かめておきましょう。なお、補助事業の目的のために必要なホームページの改良や機能強化は、承認が要る「処分」には当たりません。

公開したい時期まで待てて、ほかの条件にも合うなら、補助金の利用を考えます。待てない場合や、条件が合わない場合は、使わずに先に作るか、区や市の補助金を探します。気をつけたいのは、先に発注して作った費用は、あとから補助金の対象にはならないことです。先に作ると決めたら、その分は補助金なしで進めることになります。

公開したい時期まで、発注を待てるか 待てる 待てない ほかの販路開拓と組み合わせ、 先払いと報告ができるか できる できない 補助金を使って作る (できたページから順に公開もできる) どれかを選ぶ ・最低限を先に公開し、 残りを持続化補助金で ・区や市の補助金を探す ・使わずに先に作る
図5:補助金を待つか、先に作るかの決め方。

図5の選択肢のうち、分けて公開する方法について説明します。ホームページは、すべてのページを一度に公開しなくても、分けて公開できます。私は制作の仕事で、補助金を使ってホームページを作ったことがあります。公開したい時期と補助金の日程が合わない場合でも、分けて公開することで、進め方を調整できることがあります。分け方は、どこまで待てるかで2つあります。

交付決定より前に公開したいとき(持続化補助金の場合)

会社概要・事業紹介・問い合わせなど、最低限のページを補助金を使わずに先に公開します。交付決定のあとに、事業計画に書いた販路開拓のためのページや機能を新しく発注・契約し、2028年3月31日までに公開します。ウェブサイト関連費は、ウェブサイトの構築だけでなく、更新や改修も対象になります。先に公開した分の費用は、補助の対象になりません。なお、区の補助金では、ページの追加だけでは対象にならないことがあります(中央区・葛飾区)。

交付決定までは待てるが、全部のページがそろうまでは待てないとき

交付決定のあとに発注し、できあがったページから順に公開していきます。第20回なら、補助事業の期間が終わる2028年3月31日までに、制作・公開と支払いを終えます。

補助金を使ったからといって、必ず得をするとは限りません。戻る額と、待つ時間や手間を比べてみて、見合わないと判断したなら、使わないのも1つの答えです。

ARROWSのホームページ制作

ARROWSのホームページ制作では、すべてのページをまとめて公開する方法と、できたページから順に公開する方法(価値最大化Web制作)を選べます。できたページから公開する場合は、最初のページを最短2週間で公開し、制作の途中から検索で見つけてもらえます(最短の日数は、サイトの内容と進め方で変わります)。

補助金を使う場合は、第3章のとおり、交付決定より前に発注した費用は対象になりません。できたページから順に公開する進め方でも、補助金を使うなら、発注は交付決定のあとになります。ご相談のときに交付決定の予定の時期を伺い、そのあとの発注を前提に、進め方をご提案します。

作る前には、届けたい相手がどんなキーワードで調べるかを洗い出し、実際の検索結果を確かめてから、ページの構成と内容を決めます。

まとめ

ホームページに補助金を使うかどうかは、戻る額だけでなく、発注できる時期と公開したい時期を並べて決めます。持続化補助金の第20回なら、いま準備を始めても、発注できるのは早くて2027年4〜5月ごろです。

まずは、ホームページを公開したい月を決めて、第3章の日付と並べてみてください。あわせて、所在地で利用できる補助金がないかを、区や市のサイトで確かめてみてください。国の補助金を待つか、分けて公開するか、使わずに先に作るかを決めやすくなります。