問い合わせが来ない理由は、3つのどこかにある
ホームページから問い合わせが届くまでには、3つの関門があります。
1つ目は、見つけてもらえるかです。検索や広告、紹介などでサイトに来る人がいなければ、問い合わせは起きません。
2つ目は、来ている人が問い合わせる人かです。サイトに来る人の中には、仕事を頼む先を探している人もいれば、用語の意味を調べに来ただけの人や、求人を探している人もいます。来ている人の多くが調べものの人なら、何人来ても問い合わせにはつながりにくくなります。
3つ目は、来た人が問い合わせまで進めるかです。頼みたいと思って来た人でも、何ができる会社なのかが伝わらない、問い合わせの入口が見つからない、フォームの項目が多い、といったところで止まります。
問い合わせを増やす方法としてよく挙がるのは、1つ目のアクセスを増やすことと、3つ目のページや入口を直すことです。2つ目は見落とされがちですが、ここがずれていると、アクセスを増やすほど、問い合わせにつながらない人が増えていきます。問い合わせが来ない理由がどの関門にあるかで、手を付ける場所が変わります。
問い合わせの数は、来る人の数と問い合わせる割合で決まる
問い合わせの数は、サイトに来た人の数と、そのうち問い合わせた人の割合をかけたものです。
問い合わせの数 = 来た人の数 × 問い合わせる割合
この割合を、コンバージョン率(CVR)と呼びます。コンバージョンは、問い合わせや資料の請求のように、サイトに来た人に取ってほしい行動のことです。
たとえば、月に500人来て問い合わせが2件なら、割合は0.4%です。来る人を倍の1,000人にすれば、割合が同じなら4件です。割合を0.8%にできれば、500人のままでも4件になります。
問い合わせる割合は、業種や、頼む前にどれだけ比べて検討するかで大きく変わるので、他社の平均と比べる目安にはなりにくいと私は考えています。問い合わせが月に数件のうちは、割合も月ごとに大きく揺れるので、1か月では判断しにくく、3か月ほどまとめて見るのがよいと私は考えています。高いか低いかは、来る人が増えた時期に、問い合わせも増えたかで見ると分かりやすいです。
自社の問い合わせの数に目標を置き、3か月ごとに比べて、目標を下回ったときに何をするかまで先に決めておく方法は、KPIの記事で解説しています。
関連記事KPIとは?意味と決め方、数字を見るだけで終わらせない置き方【テンプレート付き】
ここで気をつけたいのは、割合が低いときの理由が2つあることです。来ている人が問い合わせる人ではないのか、来た人が問い合わせまで進めないのか。割合の数字だけでは、この2つを分けられません。そこで次の章では、どこで止まっているかを見分ける方法を紹介します。
どこで止まっているかを見分ける
見る場所は3つあります。どうなっていたら、どの関門で止まっているかは、次のように見分けます。
| 関門 | こうなっていたら、ここで止まっている | 見る場所 |
|---|---|---|
| 1つ目(見つけてもらえているか) | 頼む先を探すキーワードが表示されていないか、上位10件より後ろにしか出ていない | Search Console(検索パフォーマンス) |
| 2つ目(問い合わせる人か) | 表示回数の上位が、調べもののキーワードばかり。問い合わせが来ても、営業の売り込みや求人への応募ばかり | Search Console(検索パフォーマンス)・問い合わせの記録 |
| 3つ目(問い合わせまで進めているか) | サービスのページは見られているのに、問い合わせフォームのページを開く人が少ない | Googleアナリティクス(GA4)の「ページとスクリーン」 |
Search Consoleは、Googleの検索で自社のサイトがどう表示されているかを見られる、Googleの無料の道具です。キーワードの仕分け方は、次の章で説明します。GA4は、サイトに来た人がどのページを見たかを数える道具です。「レポート」の「エンゲージメント」から「ページとスクリーン」を開くと、ページごとの表示回数が並ぶので、サービスのページと問い合わせフォームのページを並べて見ます。どちらも、サイトを作った会社が設定していることが多いので、その会社に、Search ConsoleとGA4を自社のGoogleアカウントでも見られるようにしてほしい、と頼んでください。
問い合わせの記録は、道具が要りません。問い合わせのたびに「どこで知りましたか」と聞いて、答えを控えておきます。フォームだけでなく、電話や紹介、営業担当に直接来た相談も、同じ表に控えます。あわせて何を頼みたかったかを控えると、問い合わせてきた人が、頼みたい人だったかが分かります。集客の方法ごとに何を見るかは、Web集客の記事で整理しています。問い合わせの手前で集めた名刺や資料のダウンロードも含めて比べるときの記録の付け方は、BtoBのリード獲得の記事で解説しています。
関連記事BtoBのリード獲得とは?施策の選び方と、成果の比べ方
このうち、最初に開いてほしいのはSearch Consoleです。
アクセスを増やす前に、来ている人が問い合わせる人かを確かめる
Search Consoleの「検索パフォーマンス」を開くと、表の「クエリ」の欄に、自社のサイトが検索結果に表示されたときの検索キーワードが並びます。Googleの「検索パフォーマンス レポート(検索結果): 概要と基本設定」も、このレポートでできることとして、サイトがどのような検索クエリで検索結果に表示されやすいかを把握することを挙げています。
表の「表示回数」の見出しを押すと、多い順に並びます。期間は最初に出る3か月のままで構いません。クリックが少ないうちは、実際に来た人のキーワードだけでは数が足りません。検索結果に表示されたキーワードは、クリックされればそのまま来る人のキーワードになるので、表示回数の多い順に見ます。上から20件ほどを、次の3つに仕分けます。
- 調べもののキーワード:用語の意味や、やり方を調べている(「〇〇 とは」「〇〇 やり方」「〇〇 表示されない」など)
- 困りごとのキーワード:自分では解決しにくく、人に頼みたくなる困りごとをそのまま打っている(「ホームページ 問い合わせ 来ない」など)
- 頼む先を探すキーワード:会社や費用を探している(「〇〇 会社」「〇〇 見積もり」「地名と業種」など)
社名やサービス名での検索と、求人を探す検索は、3つとは別にします。社名で探す人は、すでに会社を知っている人です。
問い合わせにつながりやすいのは、困りごとと、頼む先を探すキーワードです。調べもので来た人は、答えが分かれば、多くはそのまま帰ります。仕分けた結果が調べものばかりなら、来ている人がずれているということです。その状態でアクセスを増やしても、増えるのは調べものの人です。
調べものの人に価値がない、ということではありません。企業の担当者は、調べものの記事を読んだあとで、頼む先を探し始めることもあります。ただ、その人が問い合わせるまでには時間も段階もかかるので、アクセスを増やしても、すぐに問い合わせが増えるわけではありません。
記事の本数を増やしても、同じことが起きます。ある会社のサイトを調べたときは、20本以上のコラムがありましたが、狙っていたのは、その会社が仕事の中で使う用語ばかりでした。どの用語で検索しても、検索結果の最初にGoogleの「AI による概要」が出ていました。その用語で検索するのは、意味を調べる人が多いと私は見ています。仕事を頼む側の人は、その用語では検索しません。仮に1位を取っても、来るのは調べものの人です。
このサイトでも仕分けてみました。2026年9月8日から23日までに、このサイトが検索結果に表示された検索キーワードは16個でした(検索した人が特定されないよう、Search Consoleがキーワードを出さない分は除いています)。12個が調べもの、3個が頼む先を探すもの(ブランディング会社の選び方、SEOの見積もりなど)でした。残りの1個は求人のキーワードなので、3つとは別にしています。頼む先を探す3個は、どれも検索結果の平均90位前後にしか表示されていません。検索結果の1ページ目に並ぶのは、おおむね上位10件なので、90位はほとんど誰の目にも触れない位置です。第3章の表に当てると、このサイトは2つ目の関門で止まっていて、頼む先を探すキーワードでは1つ目の関門でも止まっています。
このサイトはコラムを書き始めたばかりで、どれも調べものをしている人に向けて書いているので、調べもののキーワードが多いのは自然な結果です。ただ、この内訳のまま表示が増えても、増えるのはおそらく調べものの人です。問い合わせにつなげるには、頼む先を探すキーワードで上に出る必要があります。
なお、一覧にある検索キーワードで自分で検索しても、自社のサイトが出てこないことがあります。同じヘルプに〈クエリがリストに表示されていても、Google 検索で同じクエリを実行した際に、検索結果にサイトが表示されない場合があります〉とあり、理由として、検索した時間や場所、端末、その人の最近の履歴によって結果が変わることを挙げています。確かめるときは、自分の検索結果ではなく、Search Consoleの数字を見てください。
アクセスを増やす前に、来ている人が問い合わせる人かを確かめる。 来ている人がずれていれば、直すのはアクセスの量ではなく、見つけてもらうキーワードのほうです。
来てほしい人が使うキーワードで見つけてもらう
仕分けて、頼む先を探すキーワードが少なかったら、次に考えるのは、来てほしい人が何と打って検索するかです。
仕事を頼む人は、業界の用語ではなく、自分の困りごとや、ふだん使っている呼び名で検索することが多いです。たとえば、メールの配信を外に頼みたい人は、「メールマーケティング」に「代行」「支援」「会社」などを付けた検索より、「メルマガ 作成」「メルマガ 代行」で探します。Googleのキーワードプランナーの目安では、前者はどれも月10回以下で、「メルマガ 作成」は月70回、「メルマガ 代行」は月50回ほどでした(2026年9月時点)。
第3章の問い合わせの記録に、お客さんが何と言って頼んできたかが残っていれば、それがそのまま候補になります。
キーワードを絞って問い合わせが増えた例もあります。私が関わった製造業の会社では、サイトのリニューアルにあわせて、製品の種類の呼び名に「製作」「印刷」のような、頼むときに使う単語を組み合わせたキーワードに絞って、ページを作りました。あわせて、納めた実績を1件ずつ、写真と説明をつけたページにして、毎月1件ずつ足していきました。メインのキーワードでの検索順位は16位から2位になり、問い合わせは月0件から13件になりました。
この会社の場合は、広く集めるより、頼む人が使うキーワードに絞ったほうが、問い合わせに近かったということです。何を狙うかを数字と検索結果から決める手順は、キーワード選定の記事で解説しています。
狙うキーワードが決まったら、そのキーワードに答えるページが自社のホームページにあるかを確かめます。キーワードごとに答えるページを整理する手順は、ホームページ集客の記事で解説しています。
関連記事ホームページ集客とは?検索から来る人は、トップページから入るとは限らない
来た人が、問い合わせまで進めるか
来ている人が頼みたい人でも、問い合わせまで進めなければ件数は増えません。確かめるのは、次の4つです。
- 何ができる会社かが伝わるか。持っている実績や認定、資格がサイトに載っているか
- いちばん目立つボタンの行き先が、自社の問い合わせフォームになっているか
- 本文の強調が、ボタンに見えていないか
- フォームの項目が多すぎないか。問い合わせフォームのほかに入口があるか
何ができる会社なのかが伝わっていないことは、思っている以上によくあります。持っている実績や認定、資格が、サイトに載っていないのです。見出しを書き出して、載っていないものを探す方法は、ホームページリニューアルの記事で紹介しています。
関連記事ホームページリニューアルとは?進め方と、検索順位への影響を抑える変え方
ボタンの行き先は、見落とされやすいところです。あるサイトの作り直しに関わったとき、いちばん目立つ位置にあるボタンの行き先が、外部のサイトになっていました。押した人はそこで申し込むので、問い合わせは自社に残らず、何件あったのかも数えられません。あわせて、問い合わせのボタンは色が白で目立たず、問い合わせへの入口もページのあちこちに散らばっていました。
直したのは、入口を1本にまとめ、そのボタンの行き先を自社の問い合わせフォームに変えたことです。このサイトでは、ボタンの文言は変えていません。 文言を変えると、押す人が期待することまで変わり、押されにくくなると考えたからです。行き先を変えるだけなら、押す前の見え方は変わりません。
本文の強調も、同じサイトで直しました。角を丸めた色付きの帯に白い文字を載せた強調は、ボタンと見分けがつきません。押せないものがボタンに見えると、本当に押してほしいボタンのほうが見分けにくくなります。角を丸めた色付きの形はボタンだけに使うと決め、本文の強調は下線やマーカーにそろえました。
フォームは、最初の問い合わせで聞くのが連絡先と用件くらいで足りることが多いです。すぐ相談するほどではない人には資料のダウンロード、フォームに書くより話したい人には電話の窓口を置くと、フォームまで進まない人ともつながれます。
入口やボタンを直すのは、サイトを作った会社に頼むことが多いはずです。そのときは、どこを、どう直したいかを1行ずつ書いて渡すと、話が早く進みます。たとえば「いちばん目立つボタンの行き先を、自社の問い合わせフォームに変えてほしい。文言はそのまま」のようにです。
何から手を付けるか
3つの関門に手を付ける順番は、次のとおりです。
- 来ている人が問い合わせる人かを確かめる(2つ目の関門)
- 来た人が問い合わせまで進めるように直す(3つ目の関門)
- 見つけてもらうキーワードを選び直す(1つ目の関門。効くまで数か月かかるので、2と並べて始めてよい)
確かめるのを最初にするのは、Search Consoleが使えれば、無料で、その日のうちにできるからです。Search Consoleを開いて検索キーワードを仕分けるだけで、アクセスを増やすべきかどうかの見当がつきます。直すのを次にするのは、いま来ている人を逃さないためです。入口やボタンの行き先はページごとに手を入れれば済むことが多く、記事やページを足すより、手間も費用も小さく済むことが多いと私は考えています。
確かめて、来ている人がずれていたら、直す先は見つけてもらうキーワードです(第5章)。ただ、選び直して記事やページを足すには、時間も費用もかかります。検索で表示されるようになるまでは、数か月単位で見ておくのがよいと私は考えています。そのあいだに、来た人が問い合わせまで進めるかを直しておきます。キーワードの選び直しは、2と並べて始めてかまいません。効くのがいちばん後になるので、3番目に置いています。
2でページを直す前に控えておくことと、直したあとにいつ、何を見て、そのままにするか元に戻すかを決める手順は、ホームページの改善の記事で解説しています。
もう1つ、数だけでなく中身も見てください。問い合わせが増えても、営業の売り込みや求人への応募ばかりでは、仕事にはつながりません。第3章の問い合わせの記録に、何を頼みたかったかを控えておくと、中身の変化も追えます。
問い合わせを増やす目的は、件数そのものではないと私は考えています。頼みたい人からの問い合わせが、自社で受けきれないほど来て初めて、どの仕事を受けるかを選べるようになります。仕事を選べるようになれば、値下げをしなくても済むようになります。
ARROWSのマーケティングコンサルティング
第7章で、確かめる、直す、選び直すの順に手を付けると書きました。3つの関門は、見る道具も、直すときに頼む先も分かれがちで、自社だけでこの順番を守りながら回し続けるのは手間がかかります。ARROWSのマーケティングコンサルティングでは、手を付ける順番を決めるところから、実行と見直しまでをお引き受けしています。
最初に、どんなお客様から、どれくらい問い合わせが来ているかを伺い、これから半年間の集客の設計図をつくります。設計図には、お客様が知る、調べる、比べる、問い合わせる、商談する、という行動の段階ごとに行う施策と、その優先順位、成果を確かめる数字を書きます。第3章・第4章で見分けた、止まっている関門は、どの段階の施策から手を付けるかを決める材料になります。
そのあとは、実施した施策と数字の変化をお客様ごとのデータベース(カルテ)に記録し、毎月ご報告して、次の月にどの関門に手を入れるかを一緒に決めます。支援する分野も、その時期の課題に合わせて切り替えます。
まとめ
ホームページの問い合わせを増やすときは、アクセスを増やす前に、いま来ている人が問い合わせる人かを確かめます。
まずはSearch Consoleの「検索パフォーマンス」を開いて、表示回数の多い検索キーワードを上から20件ほど、調べもの・困りごと・頼む先を探す、の3つに仕分けてみてください。頼む先を探すものが少なければ、見つけてもらうキーワードを選び直します。効くまでには時間がかかるので、そのあいだに、来た人が問い合わせまで進めるかを直しておきます。




